第4話 親の恩は猫で送る
「ネコンー、どこだー」
ネコン爆誕から6ヶ月後。
俺は人生の絶頂にいた。
栄養満点でつるっつるでふさっふさの毛並み。
ピンク色のぷりっぷりでむにっむにの肉球
お日様のような、ポップコーンの様な甘ーく香ばしい香り。
「にゃん!」
「うっひょー!かわいいねぇ!」
ネコンには特別室を作り準備した。
というか部屋じゃなく一軒家なんだけどね。
どれくらいかって言うと現実世界で、あー、すげー豪邸だなぁ、って思うくらいのサイズ。
物陰から飛び出して脅かしてくるネコン。
ご飯が欲しいとすりすりしてくるネコン。
そしてベッドで寝ていると首筋にころんと横たわるネコン。
そして気を許した者にしか見せないと言うへそ天。
「いいのですか?」
「にゃん」
「では、失礼して……すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!おごっ!?ごほっ!?がはっ!」
猫吸いすぎて息が苦しい!?
「にゃご!?」
「ああ待って下さい猫さまぁ!!」
咽せて驚かせてしまったな……
ちなみにネコンの言葉は全くわからないのて言葉のわかるククリャかシャスニャスに翻訳してもらっている。
いない場合は何となくで話を合わせてる、猫だし何となくわかるのだ。
「リョウ様今日も元気ですにゃね」
「そりゃそうだろ、こんなかわいいネコンが毎日そばにいるんだからな!」
「にゃおん!!」
ククリャとシャスニャスには当然だが俺の家に一緒に住んでもらっていた。
ネコンの育児にかかる全ての費用やものは俺が負担すると言ったのだが、シャスニャスは父親として自分が養うとそれだけは譲らなかった。
「それにしてもネコンは全然話さなくて心配ですにゃ……身体も小さいしこのままだときっと将来大変なことばかりですにゃ!」
いやまあそうなんだけど猫だしなぁ。
そう言う種族としか言いようがない。
「大丈夫だ、ネコンのそばには俺が一生居る。だから心配しなくていいんだ」
「リョウ様……ぐすっ、あ、ありがとうございますにゃ……!」
「約束したからな」
「ぐすっ、それと気になることがあるんですにゃ。ネコンの性別なんですがにゃ、最初はふぐりが無いから女の子だとおもっていたんですけど違うみたいなんだにゃ。また見たいんですけど私には中々見せてくれないのにゃ」
あー、性別か。
全く気にしていなかったが確かにたまたまは無かったかもなぁ。
それにネコン、かなり素早いし力強いんだよぁ、猫サイズであんな小さいのに。
「ネコンー、ちょっとお股見せてー」
「にゃおん?」
しかし俺にはネコンは気を許しているのだ。
うーん、お股にたまたまは……やっぱりない。
違うって言っていたのは何でだ?
「あ!それですにゃ!ほら!」
「ほらって言われても何かあるか…………ん?これ……」
ネコンのお腹、正確にはお股の部分、そこには何も無かった。
おしっこの穴も、うんちの穴も。
「……………」
そーいや全自動清掃トイレって作ったけど、あれどうなってたっけ?
気になって見てみたら、そこにはうんちも何もなかった。
……ま、異世界の猫だし。
「にゃおん?」
「ネコンはかわいい猫だねぇ!大丈夫、ネコンは選ばれし種族、猫だからこれくらいは普通だ」
「そうなんですにゃね!やっぱりネコンは選ばれ者……リョウ様、お願いがありますにゃ!」
「ん?何だ?ネコンのためなら何でもやってやるぞ」
「ネコンは選ばれ者だとおっしゃいましたにゃ?であればその使命を全うしないといけないと思いますにゃ」
「使命?」
俺に癒しを与える&猫吸い&もふふわすること以外にそんな使命はないはずだが?
「はい!魔王討伐ですにゃ!!」
…………?
ククリャは何を言っているんだ?
魔王討伐?何故そんなことをネコンがしなくてはいけない?
「いや行かないが」
「にゃんと!?にゃぜですかにゃ!」
「だって外に出たらネコンの肉球硬くなるし、匂いも臭くなるし何より怪我とか病気になったら俺は死んでしまうかもしれん」
「ですがネコンは選ばれ者ですにゃ!ならば……」
「選ばれ者だけどその役割は様々だろう、ネコンの役割は魔王討伐は他の選ばれ者の役割だ」
たとえ神様が討伐に行けと言っても俺が絶対に阻止する。
そもそもネコンでは外の世界の魔物、スライムすら勝てるか怪しい。
残念だが猫は猫、無理せずにマイペースで生きていけばいいんだ。
「にゃお」
「ん?どうしたネコン?ってそれは……」
ネコンは背中に大きな鞄を背負っていた。
その鞄の中にはネコン、いや猫が大好きにゅーるを作るための人力ミキサーと少しの干し肉。
まさか……ネコン……
「魔王討伐に行きたいのか?」
「にゃお!」
「流石我が子!その使命を生まれながら理解しているにゃ!」
うそん。
でもネコンはまだ5ヶ月、猫が最初の1年の成長が早いとは言え人間換算では多く見積もっても10歳程。
ちょっと早すぎるんじゃないですかね。
「ネコン、もう少し大きくなってからでいいんじゃないかなー?あと1年したらちょうどいいかもよ?だからそれまでは……ね?」
作戦その1!なぁなぁにしてなかったことなする作戦!!
あと1年、あと1年で最終的には死ぬまでここで一緒にいてもらうぜ!
「にゃにゃん!!」
「ネコンもそう思うのですにゃね!」
……今何て言ったの?
言葉わかるのいいなぁ!
「ネコンも今すぐ旅立ちたいそうです、若い頃から実践経験を積むことでリョウ様との訓練では得ることの出来ない新たな自分自身を見つけられると言っていますにゃ!」
いまの、にゃにゃん!にそんな思いが!?
というか俺との遊びは訓練だと思われてたのね!
「いや、でもほら、訓練してる中では実力まだまだだなぁ、って思うしぃ……俺より強かったらまだ許してあげなくもないかなって思うけどさぁ」
ふっ、これで完璧。
残念だがこの100年、ネトキャッコ王国を護り続けてきた俺には絶対に敵わない。
「にゃにゃ、にゃにゃにゃん!」
「……なんて?」
「わかりました、では私が本気のリョウ様に勝てば旅立ちを許してくれると言うわけですね?それではリョウ様、私と勝負して下さい。お互いいいわけ無しの本気、もし私が勝てば旅立ちをお許しください、負ければ大人しくここでリョウ様と一緒にこのネトキャッコ王国の発展に貢献いたします、ですにゃ!」
「いいだろう!その勝負、受けた!」
……勝ったな。
残念だがネコンの実力は把握済。
速度も力も猫レベル!
ただの人間ならまだしも今の俺は一国を治める最強の魔術師、かわいいねこなんぞねこ毛玉にしてコロコロころがしてやるわぁ!!
「では勝負はいつからにしましょう?ネコンはいつでもいいと言っていますにゃ」
「今からでも構わないぞ、早く終わらせて猫吸いをしたいからな」
「そうですか、ネコンもそれでいいですかにゃ?」
「にゃ!!」
「ネコンもいつでも良いと言っています、ではそこの広場で対決をして……」
「いや肉球に傷がついた大変だから家の中、ここでやる」
「そ、そうですかにゃ……では互いに準備するにゃ!」
ネコンがいつもの部屋中心で俺と対峙する。
「しゃーぁん!」
「うほっ!猫様の威嚇だぁ!!」
え、初めて見たかも!
すっごい尻尾が立ち上がって毛が逆立って太さが3倍くらいになっていた。
と、可愛さに見惚れて油断はしない。
俺は防御魔術、『
これはネトキャッコ王国に展開している結界とは全く別物だ。
結界ではなく、敵の両手脚にあらゆる攻撃の威力をゼロにする肉球を付与する。
手足以外の攻撃威力もゼロになる。
可愛く、そして最強の魔術。
この時点で俺の勝利は決まった。
「ネコンー、ほらほらどうしたー?お得意のねこぱんちを打ってこないのかー?」
今のネコンの攻撃はティッシュが身体をなぞる程度の威力。
むしろネコンスメルを嗅げる分プラスまである。
「ゔにゃん!」
おお!目の前にピンキーな肉球!
本当かわいい、後はわざと食らってふりしてネコンの機嫌を……
「うがん!?」
……あれ?
おかしいな、視界がゆがんで真っ暗になって行く。
あー、もしかしてネコンが降参して顔に抱きついてきたのかな?
もうかわいいんだからぁ、仕方ないなぁ、少し遊んで……あげ……
【猫無双】異世界に猫がいなかったので創ったら最強の魔獣が生まれてしまった〜にゅ〜る魔王味が食べたい?仕方ない……お前の好きにしていいぞ、ネコン〜 耳折 @mimioreneko
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