親友vs騎士様

「ふああ、おはよう。朝早いね。ソフィアちゃん」


「ココちゃん!おはよう!起こしちゃってごめんね」



時計を確認すると後20分は眠れる。

サイドテーブルに置いてあった櫛を手に取って長い青い髪を整える美人な女の子。前髪も整えて軽くメイクする。



「ソフィアちゃんのそのネックレス、例の騎士様に買ってもらったの?」


「そうなの!騎士様すっごく優しいの!」



幸せに浸るソフィアが微笑ましいココは「そうだねえ、私は騎士様のことよく知らないけど…」と少し心配そうに言う。


このネックレスは昨日、帰り際にルイから渡されたものだ。いつの間に!?と驚くとルイは笑った。ど、どうしてプレゼントなんか、と言うと。



『ソフィアには俺のこともっと好きになって欲しいから』



思い出しただけで嬉しすぎて空飛べちゃう!!飛べないけど!


ココはルイとは話したことがない。ソフィアと話しているところを見ただけだ。

少々心配だ。彼は女性の扱いは上手そうだし、尚更ソフィアみたいな異性に不慣れな子は騙されやすい。



「ルイ様…だっけ。他の子から聞いたんだけど、昔やんちゃしてたみたいだよ。所謂不良ってやつ?」


「そうなの!?」



そんなの聞いたことない!とソフィアは驚きを隠せない。あんなに優しいのに昔は不良だった!?

それってそれって…!



「危険な男性もかっこいいよね…!」


「…ソフィアちゃん、その騎士様のこと好きなの?」


「え!!」



みるからにそうである。

あんぐりと口を開けていたソフィアはココにど直球に聞かれて顔真っ赤にする。


好きだけど〜っ!好きだけどこれは憧れとかで!!


と自分の気持ちに素直になれないソフィア。


男の子とデートしたらそ、それはもう意識しちゃうじゃん!違うの!?でも騎士様は手慣れてる感じしたし!


うおお…と百面相するソフィアにココはくすりと笑う。そして人差し指と口元に持っていくとふわりと微笑んだ。



「私、そんなソフィアちゃんが好きだよ」


「うん!私もココちゃんのこと好きだよ!」


「ふふ、じゃー、悪い騎士様を落とせるようにおまじない」



ココはソフィアの頬を左手で添えると…ソフィアの唇にリップを塗った。



「ほら可愛い!この間一緒に買ったリップ、この色も似合うね!」


「流石学校一の美女が選ぶリップは違う…」





「騎士様に会えない…」



ただっ広い城内、まず会うのが難しい。中庭の掃除中、しくしくと小さくなっていくソフィアにココは元気づけようと話しかける。



「ソフィアちゃん、大丈夫?仕方ないよ、お城は広いし、騎士様は城下町のパトロールに行ってるかもしれないし」


「うう…」 


「もっとちっちゃくなっちゃった」



しくしくしく。元気づけるどころか更に落ち込んでしまった。

「そうだ!」とココは明るい声を出した。



「コックさんから聞いたんだけど、後で新作のデザート味見させてもらえるらしいよ!ソフィアちゃん、スイーツ大好きだよね」


「スイーツ!わー!楽しみ!」



元気に復活したソフィアにココは可愛い、と思いつつ「それじゃあお仕事頑張ろ」と背中を押した。



「おいしー!」


カップに入ったオレンジムースを食べているソフィアのココは従者専用の食堂にいる。爽やかな味が疲れを癒してくれる。



「このオレンジ、西の国で取れたらしいよ」


「西の国かあ、行ったことないなあ。美味しいものたくさんあるって有名だよね」


「西の国は美食家が多いからねえ」



気候が安定している土地のせいなのか名産品の多い西の国。


「そういえば、新作のリップが…」「この前行ったケーキ屋さんが…」ときゃっきゃと女子トークをする二人。


オレンジムースを食べ終わった頃、ココがリップをポケットから取り出してきた。



「リップ落ちちゃってるから塗ってあげる〜」



ソフィアの顎に手を添えてリップを塗ってくれるココ。「はい、おしまい」とすぐに終わらせると同時に「ソフィア?」と聞きなれた声がした。



「あ、騎士様!こんにちは」


「こんにちは、今休憩中?」


「はい!騎士様も休憩中ですか?」


「うん」



開いていた食堂のドアからルイがやってきた。笑顔で頷くルイに隣にいたアルトが「違うだろ」とツッコミを入れる。

アルトが人懐こい笑顔を二人に向けると言った。



「俺らサボり中なんだ!腹減ったなあ。ルイ、キッチン行こうぜ!」


「うん、じゃあいってらっしゃい」


「え?一緒に行こーぜ!」


「俺はソフィアと話してから行くよ」



にっこり。表情を変えないルイに男性はあ、あー…と何か察する。

(面白そうだしどんな感じに接してるのか見てみたいな、聖女様の末裔)

アルトはソフィアを見ると「えと…」とどう呼んでいいのか分からず困っていた。



「俺はアルト!後ろのあんたも鍛錬場で会ったな!」


「はい、ココと申します。アルト様。この子はソフィア」



ココは男性と話すのは慣れたもの、男性慣れしてはいソフィアも一緒に紹介してくれる。

「凄い美人だな!」「ふふ、よく言われます」と謙遜しないココ。

テーブルに空になった皿が置いてあった。



「ソフィア、何か食べてたの?」


「あ、試作のオレンジムース食べてました。騎士様も後でコックさんから頂いては?とても美味しいですよ」


「うん、後でもらうよ。それと…」



ルイはちら、とココを見る。ココは目が合うとふわりと微笑んだ。

あ、とその視線に気づいたソフィアはココを紹介する。



「ココちゃんは幼馴染で、学校もずっと一緒なんです!すごくいい子なんですよ!」


「初めまして、ルイ様。ソフィアからお話は常々。親友のココと申します」



と目を輝かせて自慢の友達を紹介するソフィア。そんな彼女にルイは表情を固くする。


親友かあ、親友なんだあ、へー…。



「俺はルイ。よろしくね。へー、ソフィア。俺のどんな話をしてたの?」


「え!そ、それは…」



顔を真っ赤してもごもごと小さくなるソフィアを見てルイは少し嬉しそう。あらあら、とココは微笑ましい。

余裕そうなココにルイは少々冷たい視線を送る。



「…それはそうと、さっき妙に距離が近かった気がするけど?」


「そうそう、見てください、ルイ様。可愛いでしょう?ソフィアちゃんに私のリップを塗ってあげたんですよ」



にこにこ、ココはソフィアの肩をに手を置いてルイに見せつける。

あらあらまあまあ、なんて面白がるココの真意は読み取れない。



「うん、可愛いよ」 


「か、かわ…!あ、ありがとうございます」


「よかったね、ソフィアちゃん」



うん!ときゃっきゃとまた仲の良い二人。

あー…面白くないと騎士様。

(意外と分かりやすく嫉妬するのね)と意外なカレの一面を見た、とココは興味深い。


(まあ、私もなんだけど)


ずっと一緒にいた親友が取られそうで面白くない。



「今度、俺とまたデートしよっか。リップ買ってあげるよ」


「へ、!?あ、えと…」


「あはは」



なんて会話する二人。

ソフィアは分かりすく顔に出てるし、ルイは真意はわからないがソフィアと仲が良さそう。

男慣れしていないソフィアに優しいルイは丁度いいのかもしれない、が、


(心配なんだよねて、噂のこともあるし)

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