第16話 最強退魔師の戦い方
「正面から鬼ヶ島にカチコミですからね。向こうも黙ってませんよね」
”なに呑気にかまえてるんだ!”
”マサトくんはいつもそう! 余裕あるその表情が素敵!”
”マサトさまはワタクシのヒーロー。こんなところで負けませんわ!”
”待て待て。いくらマサトが強くてもあの数を相手したらさすがに死ぬぞ!”
”もう終わりだぁ~。おしまいだぁ~(がくがく)”
【スパチャ ¥4,545】
”調子に乗った罰だ! くたばれクズ男!”
【スパチャ ¥4,545】
”お疲れ様ですRIP”
【スパチャ ¥4,545】
”キミの可愛いデスマスクをボクに見せておくれぇぇ!”
荒らしに加えて変質的なコメントまで混ざってカオスになっている。
(コメントの対処はミコトに任せている。僕は僕の仕事をしよう)
マサトはマイペースに印を結ぶと両手を地面に着いた。
「ノウマク・サマンダ・ボダナン・シヴァルヴィ・ソワカ」
まずは【
緩んだ地面を崩して、オーガたちの侵攻を止めると……。
「上位退魔護法術式【
――ドガガガガガッ!!
トドメの一撃。
地中より召喚した
「これで鬼は一掃できました」
”は……? いまなにをしたんだ?”
”一歩も動かずオーガの群れを一掃……だと……?”
”ネクロオーガを倒したときと同じ土魔法?”
”だとしても範囲がおかしいだろ。敵との距離は数百メートルはあったんだぞ”
「地天シヴァルヴァーは地獄を司る
”お、おう。シヴァルヴァーな。美味いよなアレ(わかってない)”
”とにかく! めっちゃすごい魔法でオーガを倒したわけだな!”
【スパチャ ¥50,000】
”さすがはマサトさまですわ! 勝利を掴むと確信しておりました!”
【スパチャ ¥10,000】
”お疲れ様です。マサトの
【スパチャ ¥30,000】
”可愛い顔してエグい戦い方に痺れた。一生ついていきやすぜ!”
「――おや~? 死ね死ね書いてたお兄ちゃんへの中傷コメントが消えたね」
”マサトのガチの実力見て尻尾を巻いて逃げたんだろ”
【スパチャ ¥50,000】
”アンチも黙らせるお兄さまの退魔ジュなんとか素敵!”
【スパチャ ¥50,000】
”抱いて!”
「退魔術式ですね。そこまで覚えてるなら最後まで言いきってください」
コメントを書き込むみんなはマサトに興味があるだけで、退魔師の仕事には興味がないようだ。
(上位退魔術は消耗も激しいけど、登録者100万人超えはさすがだな。まったく霊力が減らない)
これなら深層探索も順調に進むだろう。
マサトは確かな手応えを感じながら、静けさを取り戻した森の中を進む。
***
30分後。マサトはアンノウンエリアに侵入した。
オーガの大群を排除したおかげで、難なく先に進むことができた。
しかし、さすがのマサトも目の前に広がる光景に足を止めてしまう。
「これは……崩れたビルの
”あっちには朽ちた民家が見えるぞ。植物に侵食されてかなりボロボロだけど”
コメントの指摘通り、アンノウンエリアには近代的な建物の残骸や崩れた家屋の跡が残っていた。森と同化して今まで隠されていたのだ。
周囲には脱げた靴や昔の携帯?(ガラケーと呼ばれていた)も落ちている。かつてはここでヒトが暮らしていたのだろう。
「フィールドワークは専門外です。詳しい調査は治安局に任せるしかないですね」
「――撮影は任せて」
”これ貴重な映像だよな。オレらのコメントも歴史の資料に残るのかな”
「奥から強い魔力を感じます。廃墟の中心に深層の入り口があるみたいです」
残骸で怪我をしないように注意深く廃墟を進む。すると……。
「――フクロウの銅像?」
ドローンのカメラが、錆び付いたフクロウの銅像を映し出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます