第4話 霊力覚醒 ~ここからバズります~
霊力を込めた瞬間、マサトの銀色の頭髪にキツネ耳が生えた。
キツネ耳が生えるのは【退魔護法術式】が発動した証だ。
「成功だ。これならいける……!」
マサトが唱えたのは、【
金属性武器にマサトの霊力を注ぎ込み、刀身の鋭化と浄化の加護を与える退魔術式だ。
「ガアアアアアア!」
雄叫びを上げて迫るレッドオーガ。
「よっと!」
マサトはレッドオーガの体当たりを難なく回避。
白い霊気を宿した短刀で、鬼の足首を狙った。
「グアアアアァァァァァッッッ!!!!」
たったの一撃でレッドオーガはあっけなく消滅した。
”は……?”
”レッドオーガを一撃……だと…………!?”
「いかがでしたか? 鬼はどこでもいいから”首”を取れば消滅するんです。ね? 簡単でしょ?」
”いやいやいやいや”
”そんな簡単に倒せたら誰も苦労しねぇから!”
”生きててよかった~”
”頭に生えてるキツネ耳はなに? スキルの副作用?”
”スキル使うと体が変化するヤツいるもんな。そういう感じか”
「そうですね。そういう感じです」
マサトは曖昧に頷く。本当はスキルに関係なく狐耳が生えるのだが、説明が難しいので話を合わせておいた。
”どうしてあの体当たりを避けれんの!?”
「あ~……自分、ヤマ育ちなもんで」
”説明になってないしwww”
”天然くんかな?”
”回避能力もすごかったけどナイフが光ったのはなに?”
「羅刹天のチカラを借りました。短刀に霊力を注ぎこむことで、魔を
”よくわからんがブースト系のバフスキルかな?”
”ちょっと待て。覚えられるスキルは一人ひとつだよね?”
”攻撃を避けたのは生まれ持った身体能力ってこと?”
”ヤマ育ちパネェ……!”
”キミの実力はホンモノだ! 疑って悪かった”
”A級ソロ討伐なんて、熟練の探索者でもそう簡単にできないぞ”
”どうして今までこの才能が隠れていたんだ!?”
「僕が活躍できたのはみなさんが応援してくれたおかげです。今までひとりぼっちで心細くて……」
嘘ではない。
これまでチャンネル登録者数が少なすぎて実力を発揮できずにいた。
”マサトの体には
神は信仰により霊力を増す。
だが、ネットが発達した文明社会において神を心から信じる者の数は減る一方だ。
しかし、神と同様に呪いや祟り、妖怪も数が激減。
退魔師の認知度も下がり、今やその価値はミジンコ以下だ。
結果、満足に戦えるほどの霊力を集められなかったのだが……。
(ダンジョン配信に賭けてよかった。応援してくれるファンの数が増えれば、それだけ僕の霊力が増す……!)
マサトは運動神経が良く座学も優秀だったが、霊力が足らずに実力を発揮できずにいた。田舎でくすぶっていたら、ただのコスプレ退魔師で終わっていただろう。
「僕を見つけてくれて本当にありがとうございます。芽が出なければ田舎に帰ろうかと思ってて。うぅ……」
演技でもなく本心から出た涙だ。
マサトがうれし涙を浮かべると……。
”泣かないでマサトきゅん! これからもお姉さんが応援するからね!”
”実力は申し分ないからな。知り合いにもチャンネルを教えておく”
「ありがとうございます! いつもこの時間に配信してるのでまた見に来てください」
”よしきた! 配信スコッパーの腕が鳴るぜ!”
”オレの目に狂いはなかった。この配信は伝説になる……。”
「いい時間ですね。それじゃあ今日はこの辺りで……」
――ドゴォォォン!
「きゃあああっ!」
マサトがドローン越しにコメントと会話していると、森の奥から土煙が上がった。
響き渡る女性の悲鳴。
”なにが起きてるんだ?”
”向こうの方角には確か……”
「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!」
コメントがざわついていると、森の中から巨大な黒鬼が姿を現した。
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