姫さまは、語りたい②
「次に、
姫さまの手がぎゅっと握られました。
頬が紅潮しております。
口の形が『みかど』とささやいているようです。
姫さま、ここは、自室ですよ。目の前に
ワタクシが気絶してしまったばかりに、姫さまは、早々にあの箱のような建物の中からワタクシを連れ出し、月へと還ってきたのです。
姫さまの自室に連れていかれるまでの道中で、「ライブの途中だったのに」との姫さまのつぶやきを耳にしたような気がするのですが。申し訳ありません。ワタクシにはその意味が解せないのであります。
「らいぶ」とは?
ワタクシには、初めて耳にする単語ばかりです。
「それから、
五人の中では一番小柄で。身軽で」
ああ、あの人ですね。一番身軽に飛び跳ねていた人ですね。
「月の
ちらり、と。姫さまの視線が、ワタクシに刺さります。
「……」
姫さま、何か言いたげな表情であからさまな溜息をつくのは、やめていただけませんか。ワタクシ なんだか、いたたまれない気持ちになってきました。
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