飛び散るあのコの鮮血

私たちはいわゆる”スパイ”ってやつだ。

まだ10もいってない年齢の時に、孤児として組織に拾われて。それから今まで吐くほどキツい訓練を毎日やってきた。

そうして16歳になった今、ついに実戦ミッションに行かせてもらえることになった。


ミッションの内容は───

”雪山の中のヴァルナ研究所で開発されている、新型兵器を破壊すること。”


もしもこのミッションに成功したら…すっごい額の報酬がもらえる!

そうしたら、私が所属してるスパイ組織も抜けだして。ついでにライルも誘っちゃって。二人でのんびり暮らしてやる!

天才美少女スパイのエリスちゃんなら余裕でしょ!


「よぉーっし…夢のためって思ったら、なんかやる気出てきちゃったぞーっ!」

「おい、走るなエリス!体力をムダに使うなよ!」


私はライルが止めるのも聞かずに、ざしざしっと霜を踏みつぶしていった。


(どこで暮らそっかなぁ…海の近くとかいいなぁ。あ、でもライルは海好きかなぁ。ちょっと聞いてみよっと…)


私はふと振り向いた。くだらない質問をしようと思って。


「ねぇライル、ライルはさ、海って好き───」


その時。

一瞬だった。

私が、振り向いた瞬間に。

真っ赤な何かが目の前に広がって。私は、それを見てしまった。


───ライルが、雪の上に倒れていくところを。

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