いちばん大事な君を刺す。 ~ナンバーナイン~

ジャコめし

君だけは死なないでね

私はあのコが好きだ。

恋愛的に好きだ。


だから、あのコの邪魔をする奴は───誰であろうと排除する。

撃つ、斬る、殺す。どんな手を使ってでも、消し去ってやる。


***


「うー、さぶさぶ!こんな寒いところやだよー!吹雪強すぎー!せっかくセットしてきたツインテールが乱れちゃうー!」


一面に広がる、銀世界。そのどまんなかで、私はダダをこねるようにわめいた。


「そんなこと言ってもしょうがないだろ、エリス…ターゲットの研究所まであと少しだ。ガマンしろ。」


隣を歩いていた男の子が、あきれたように呟いた。もこもことしたコートから彼の顔が見える。

さらさらとした金色の髪、マカロンみたいな優しい桜色の唇。少し中性的な顔だち。コートの隙間からでも分かるくらいには、彼は美少年だった。

思わずぽーっと見とれてしまう。


「…なに見てんだよ?ちゃんと前向いて集中しろ。」

「み、見てないもん!そっちに───”敵”がいないか見張ってただけだもん!」

「この辺はまだ目標地点からは遠いけどな。ずいぶんと注意深いもんだな?」

「む、むむ~っ…!」


お顔みてるの、バレちゃった。

私は頬が熱くなるのを感じつつ、そそくさと前を向いた。




私は、この時は想像してすらいなかった。

この日が───

私と彼にとっての、”最後の日”になるなんて。

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