検証

角から飛び出しスケルトンに向かって走り出す。

距離はそこまでない、相手が弓をつがえる前に辿り着けそうだ。


スケルトンの真横まできた。頭に向かってバットをフルスイング!


・・・


確実にスイングは頭を捉えた、硬いものを叩いた時特有の反動が手に響いている

が、


あんまりダメージが入ってなさそう...?

スケルトンは衝撃は受けたようだが、いまだにこちらを向いて立っている。


ま、まずい。

プラン変更!!

③体重差を活かした全力タックル!!!

ふっ飛べ骨野郎!そのスカスカな体じゃ支えられないだろ!




今度は目論見通りスケルトンは派手に床に倒れ込んだ。


この隙に追撃を!と思ったがどうやら倒したようだ。





スケルトンの体を構成していた骨がバラバラになり、風化していく。そしてその場に弓と矢筒のみが残った。



思ったよりあっけなかったような、想定より手間取ったような不思議な感覚だ。


そういえばこのダンジョンは死体が消えてドロップ品が残るタイプか。正直ありがたい。今はスケルトンだから良かったが、今後生物を殺したとき解体とかの心配をせずに済む。



周囲を警戒しながら、いわゆるドロップ品だと思われる弓と矢筒を拾う。

矢筒には矢が5本入っているようだ。

せっかくドロップしたが、もちろん弓など使ったことが無いし使えない。

どうするべきか。



**********




それにしても先ほどの戦闘は何だったのだろうか。

最初のバットによる一撃。自分ではクリーンヒットだと思ったが、あまりダメージが入っているようには見えなかった。

その後のタックルはお世辞にもそこまで強いものではなかっただろう。しかし、スケルトンはあっけなく倒せた。


(実際には見た目以上にダメージが入っていたのか?いや、おそらく...)


ひとつ思いついた仮説を確かめるためにスケルトンをもう一匹探す。


幸いなことに突き当りの角に先ほどと似たような弓持ちのスケルトンを一匹見つけた。


先ほどの戦闘から、ここのスケルトンは矢を放つまでが激遅なことに気が付いたので、駆け足で近づく。

そして、スケルトンの腰のあたりの骨に向かってキックを放った。

下手な喧嘩キックだったがスケルトンはバランスを崩し、後ろに倒れ込んだ。

後は頭蓋骨を踏み抜いて終了だ。




あ、あまりにもあっけない。慣れてしまえば最初の緊張は何だったのかというほどだ。





そしておそらくだが、先ほど思いついた仮説が中らずと雖も遠からずといった具合だと感じた。

バットを使った攻撃は効かず、体当たりや蹴り、踏み付けは効果あり。



これは現代ファンタジーでおなじみの『現代兵器がダンジョンでは役に立たない』というやつではなかろうか。

作品ごとに違いはあれど、その多くで「既存の武器では効かない!!」という展開がある。

理由は単純に敵が強かったり、あとは魔力とか魔力とか魔力のせいだ。


今回の場合考えられるのは『魔力的な何か』だろう。

もちろん今回使ったバットには魔力なんか含まれてないだろう。数年前に普通にスポーツショップで買ったものだ。


この仮説の問題は、自分も魔力なんか持っている覚えがないということだ。


なのでもう一度実験だ。今度は魔力が含まれているだろう物で攻撃をしようと思う。

しかし、これには一つ問題がある。おそらく魔力が含まれているだろう武器。

すなわち先ほどドロップした弓矢を使わなければならないということだ。





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