たったひとつの冴えたやりかた

二体目に倒したスケルトンのドロップ品は矢が2本だった。

案の定だが、同じような敵を倒してもドロップに差があるということが分かった。


(何もないよりはましだな)


一体目のドロップと合わせて弓と矢筒(矢×7)になった。

次に行おうとしている検証【ダメージの有無、魔力的な何かの差説】では、この弓矢を使わなくてはならないが、正直自信はない。


考えてもみて欲しい、未経験の素人がいきなり矢など放てるだろうか?上手く構えるのも難しいだろう。





一度【門】周辺の広いスペースまで戻ってきた。

まずは、おそらく一度の戦闘でお役御免ということになるバットを置いていく。あっても邪魔なだけだしね。


矢筒についた革のベルトを肩に通して背負う。

矢を一本引き抜いて弓につがえる。 ここまでは上出来だ。

弓を引き絞り構える。  



手がぶれて狙いどころではない。


矢を放つ。 


思ったよりはまっすぐ飛んだが、とてもじゃないがスケルトンの細身には当てられそうにない。動かない的でも当てられそうにない。

あと単純に手が痛い、手袋とかしないとダメそうだ。


これではあの射撃の激遅なスケルトンも笑えない。


どうしたものかと考える。もはや矢を手で持って突き刺した方が良いかもしれない。

なかなかに野蛮な手段に決まろうとしていた時、背中に触れる矢筒の感触から、良いことを思いついた。






*************






弓と矢はバットと一緒に【門】付近に置いてきた。この戦いについてこれそうになかったから。まあ原因は俺のお粗末な弓の腕前なんだが。


慎重に通路を進んでいく。とはいえ最初のようにゆっくりと物音をたてないようにしているわけではない。

先ほどの戦いで感じたのだがスケルトンは物音に反応しない様だ。もしくは反応してもその場から動かない。

戦闘中にまあまあな音が鳴っていたはずだが、近くにいた個体も無反応だった。


通路の先にスケルトンを見つけた。残念なことに今回は弓矢持ちではなく剣を持っている。


(少し面倒だな。)


とはいえやることは変わらない。

スケルトンに向かって駆け出す。

スケルトンが剣を構えるよりも先に



をスケルトンの頭にたたきつけた。



やったことは簡単。

矢筒についていた革のベルトの片方を外して振り回せるようにした。


この矢筒はなかなか頑丈なようで、矢じりの当たる底の部分には金属が用いられているようだ。あとは遠心力を用いてスケルトンの頭に攻撃するだけ。

リーチもあって攻撃力もなかなか。我ながら素晴らしい案ではなかろうか。


そんな攻撃を受けたスケルトンはというと、


一撃で倒れたのだった。

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