『オーディオ人類の缶詰』

やましん(テンパー)

『オーディオの人類の缶詰』


開発者キューさん


 『係長、新しい試作品れす。みてください。』



係長


 『なに? それ。缶詰かい?』



キューさん

  

 『あい、オーディオ缶。』



係長


 『はあ? オーディオ缶?』



キューさん


 『はイー。こいつを、缶切りでぎこぎこあけます。』



係長


 『ふうん?』



キューさん


 『よいしよ。よいしよ。』




     ぱか!



缶詰


  歌手さんが、中から、ぼわっと現れる。



 『~〽️おーそれみお〰️〰️


    すたんふろてあて〰️〰️〰️〰️


     おそーれ、おそーれみーお~~~……』




係長


 『いや、すごいいい声だね。』



キューさん


 『これは、エンリケ・オモッソーさんの声と姿でし。空間再生技術を初めて使用しています。したがって、周波数の制限はなく、歪みも発生しないね。ライブとほぼ同じね。新しいオーディオができるね。』



係長


 『ふうん。これ、何度でも聴けるの?』



キューさん


 『いえ、いまは、まだ、使い捨てです。キャンプとか、そういうのを狙ってますねんぞな。』



係長


 『使い捨てね。😅 いいね。………あの、キューさん、ちょっとはなしがあります。』



キューさん


 『なんれすか?』



係長


 『じつは、まだ、公表されてないことで、今夜首相さんが発表するんだけど、さっき社長からしらされたんだ。地球に大きな隕石が落ちるらしい。たぶん、地球は壊れだろうと。わが社のロケットが、あと一発残ってるんだ。人間は乗れない。生活できないからね。キューさんは、アンドロイドだから、ぜひ、乗員として乗ってくれないかな。』



キューさん


 『なんと。それ、冗談れすか?』



係長


 『まじですよ。ただし、メンテナンスできないよ。自分でやれるかぎりやってください。で、地球がどうなるか記録して欲しい。万が一、地球が壊れなかったら、帰ってきてください。ま、人類が生き残ることは、まず無理そうだが、キューさんなら、長く生きられるかもしれない。あ、他にも同様の試みをする人たちもあるだろう。協力できるときはしてください。その缶詰も、持っていってください。』



キューさん


 『はあ…………』




  🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭🍭




 長い時間がたちました。


 地球は、ばらばらになりましたが、キューさんはみごとに生き残りました。


 でも、他に生き残った宇宙船などは、みあたりませんし、月基地も、一緒に壊れてしまっていました。


 また、データファイルの多くは壊れてしまいました。


        ✴️


 2000年後、未知の宇宙船が、遥かな彼方から現れたのです。


 キューさんは、もう、かなり、痛んでいましたが、最後の力を振り絞って、その宇宙船とコンタクトを取ることに成功したのです。


 手土産として、あの缶詰を10缶ほど、用意していました。


 そうして、地球人類の情報が、宇宙に伝わったのです。





          🥫

















         

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『オーディオ人類の缶詰』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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