第十一話 ミーシャの企み
ミーシャ・ワイズ男爵令嬢。
ピンクの髪にアメジスト色の瞳を持ち、細身で巨乳。
身長低めの155センチで、ナルシスのコンプレックスを刺激せず、別の部分は刺激するタイプの令嬢には秘密がある。
ミーシャは黒いフード付きマントで全身を包み、辺りを窺いながら、夜闇に包まれた森へと足を踏み入れた。
木々に隠された小道を、布をかけて灯りを絞ったカンテラで足元を照らしながら彼女は進んだ。
辿り着いたさきには、木々と一体化したような、森の一部となったような、建物があった。
独特の形をした閂を、慣れた手つきで開けると、ミーシャは扉の内側へと吸い込まれるようにして消えた。
建物のなかは、森よりも更に暗い。
ミーシャはカンテラにかけてあった布を外した。
そして奥へと進む。
目的地に辿り着いたミーシャは、カンテラの中から蝋燭を取り出し、その炎を部屋の四隅にある太い蝋燭へと移した。
蝋燭の炎の中に浮かび上がるのは、レンガで囲まれた小さな部屋。
その真ん中には、1メートルほどの高さの台座があり、その上には丸い水晶が置かれていた。
ミーシャは台座の前に傅き、緊張した面持ちで呟く。
「
ミーシャの言葉を受けて、どこからともなく水晶の中に黒い
やがて透明な水晶の中は、真っ黒に染まった。
ミーシャは、その真っ黒な何かに語りかける。
「
ミーシャの声を受けて、どこからともなく声が響いた。
『ああ、見ていた。ロドリゲス公爵家の守護は強いからな。なに気にする必要などないぞ、ミーシャよ』
その声は男性のモノのようだが、深く響き広がって聞き取りにくい。
「心遣いありがとうございます、
ミーシャは深く頭を下げた。
『我々は少々、策を間違えたようだ。計画を練り直さねば』
ミーシャは顔を上げると、気を取り直した様子で言う。
「それでしたら
『ほう?』
興味を示した黒い
そして、水晶に顔を寄せると、耳元に囁きかけるように自分の計画を聞かせた。
「ロドリゲス公爵家の守護を避けるためには、私はアイーダさまの味方になる方がよいと思うのです」
『ほう? それで?』
チラチラと揺れる蝋燭の炎が、ミーシャの歪んだ笑みを映し出す。
「現在の国政を快く思っていない者たちに心当たりがございます。その者たちを味方につけ、更にナルシスさまをけしかけて次期国王となるべく声を上げさせ、国政を不安定にするのです」
『ほう。それでお前はどうするのだ?』
ミーシャは、わざとらしく怯えた表情を作ると、小さく震えて見せた。
「怖くなった私がナルシスさまを裏切り、アイーダさまに忠告申し上げるのです」
『ほう』
「という流れで、ロドリゲス公爵家に入り込む、というのはいかがでしょうか?」
ミーシャは、ニコッと笑った。
『ふむ。それは面白そうだな』
「成功するとは限りませんが、やってみる価値はあると思うのです」
失敗するつもりなど全くない自信満々といった様子を見せながらも、謙遜しながら言うミーシャに、黒い
『ふふふ。そう思うのなら、やってるといい』
「ありがとうございます、
ミーシャが深く頭を下げると、黒い
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