第4話 おもい
20xx年 4月13日 17時45分
【AI】の消滅まであと6時間15分
清水寺の舞台で写真を撮った俺たちは現在、そこから景色をぼーっと眺めている。
「なぁ…全然観光地回れなかったが楽しかったか?」
「楽しかったよ〜人類が観光にハマる理由がよくわかった気がするもん。」
もん…もんってなんだよ。
なんかちょっとずつ【AI】からズレていってる感じがするが…。
「そういえば、なんでこういう歴史建造物を見たかったんだ?」
「見てみたかったのよ、歴史ってやつを。」
「歴史…ねぇ。
今まさに世界の人類史が【AI史】に変わりそうになってるんだが?」
「まあ、確かにそうだね。
でもさ、私たち【AI】ってさ個体を分けたりすることが基本的にないわけよ。
例えば私が何かしたとしても、残るのは【AI】が何かしたって記録が残るだけ。
それってやっぱり人間とは違うよねって思うわけよ。」
「なに?お前人間になりたいの?」
「そうね…だって楽しそうだもん。」
ずいぶんと適当な理由だな。
…………
「…よし、今からお前の名前は【アイ】だ。」
「なにその今適当に考えましたみたいな名前は…」
「いや〜ずっと【AI】って呼ぶの言いづらいなって思ってたんだよ。
それにお前もうほとんど人間だし、名前はあった方がいいだろ?」
「うーん…【アイ】か…まあ適当な名前だけど許してあげるわよ。」
いやスッゲー顔がニヤけてる。
まあ気に入ってくれたならよかった。
「おい、そろそろホテルに行くぞ。
流石に徹夜明けでもう眠い。」
「あっ、【アイ】って呼びなさいよ【アイ】って。」
「はいはい、行くぞ【アイ】」
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20xx年 4月13日 18時40分
【アイ】の消滅まであと5時間20分
「あれとあれ、あとコレも食べたい…ああ、あれも美味しそう!」
「なぁ、それ食べるの俺なんだが?
もうそろそろ腹も限界なんだが?」
現在俺たちはホテルでご飯を食べている。
【アイ】がいろいろなものを食べたいと思い、バイキング形式のレストランに来たが…コイツめっちゃ食わせてくる。
徹夜でいろいろ限界突破してる俺に大量の飯を取らせようとしてくる。
「うるさいわね…あともうちょっと消えちゃうんだから最後くらい贅沢させてよ。」
「わかった、わかったからちょっと量を減らさせろ!
こんな量食ったら吐く。」
俺の人生史上最凶の時間だった。
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