~耳垢~『夢時代』より冒頭抜粋

天川裕司

~耳垢~『夢時代』より冒頭抜粋

~耳垢~

 幻想(ゆめ)と乱心(こころ)が謎に依る時「未知の空間(すきま)」が小敗地(アジト)を報せて、個録(ころく)の初めに未開が発(た)つのは向日の思乱(あらし)の真逆(まさか)であった…。幻(ゆめ)と大児(こども)が概(おお)きく成り果て未解(みかい)の個録(ころく)を遅延(スロー)で観る時、身欲(よく)の狭間で失神するのは暗(やみ)に狭まる不解(ふかい)であった。…男性(おとこ)と女性(おんな)の虚無の盛(さか)りに宙(そら)に動ける不乱の初めは、幻想(ゆめ)の初歩から孤独に言動(うご)ける不浪に集まる独創(こごと)であって、

      *

 Listen to me…!Listen to me…!

      *

粗大に散り舞う〝初歩(はじめ)の孤独…〟は仮死に息衝き扶養の程度で、明日(あす)の枯渇を肴に据え置く不浪続きの朝日に向いた。

 自己(おのれ)の未知から無謀に降(お)り立つ「自由の瞳(め)をした英国紳士」は、孤高を肴に呼吸を静める「浮遊続きの悪義(あくぎ)」に徹して、男女(ひと)に鎮まる滑稽(おかし)な曲には幻覚(ゆめ)の独気(オーラ)が散々飛び出て、暗(やみ)に休める滑稽(おかし)な描理(びょうり)は白雲(くも)に望める不解を射った…。未憶(みおく)に従う孤独の主観(あるじ)は固陋に始まる無垢を手にして、脆弱(よわ)い四肢(てあし)を基(もと)に収める不養(ふよう)の音頭を感覚(いしき)に置き去り、桃色して居る滑稽(おかし)な悪魔は、予日(よび)の自然(あるじ)を逆さに振った。「死んだ作家」に傅く〝旧差(ふるさ)〟は幻想(ゆめ)の仄かを忘れた儘にて、白亜(しろ)い翁に帳尻合せる「不意」を宿した狡い悪夢を、耳鳴(おと)を気にする心地の陰(かげ)から不要を落とし、分厚(あつ)い空気(もぬけ)を渡る迄はと…、陰府(よみ)の許容(うち)から驚く人影(かげ)など幻覚(ゆめ)の身重に透かして行った…。無音に羽ばたく無知の欠片(かけら)も未憶(みおく)の許容(うち)へと吸収され活き、呼吸を識(し)らない不安の体位に〝粗末な悪魔〟を一匹飼った…。野暮用から出る滑稽(おかし)な孤独に情事(こと)の概(おお)くは意味を見忘れ、得てして効かない能力(ちから)の結界(かぎり)に無応に大きく文句(ことば)を操り、暗い夜路(よみち)に具体(からだ)を観る儘、無音の奥地へ退(さ)がって行った。女性(おんな)が空転(ころ)がる無機の道標(しるべ)に文言(ことば)の家族が活命(いのち)を立て生き、明日(あす)が見得ない滑稽(おかし)な孤独を男女(ひと)の寝間から程無く絶えた。白亜(しろ)い弄(あそ)びが奇遇を保(も)ち寄り、暗い弄(あそ)びを覚えた頃には、宙(そら)に朗(あか)るい極度の旨には一人(ひと)の活き地が通って在った…。明るい自主(あるじ)が奇妙に裂かれる「無穏(むおん)に瀕した家屋の末(はて)」には、分厚(あつ)い夜雲(よぐも)が生気を逸する不在の自然(あるじ)を情事(こと)に取り添え、無機の家屋に涼風(かぜ)を染(し)ませる有名無実が加減を見て居る…―――。不覚の程度に自主(あるじ)が固まり旧い気色が真命(いのち)を仰ぐと、安い形象(かたち)は物々しく成り、不義の要局(かなめ)を概(おお)めに見て取り、分厚(あつ)い小言を抜きに流離う広い荒野(こうや)の自信を識(し)った。苦労ばかりの人生(みち)を絵にして脆弱(よわ)い形成(かたち)に孤独を辿れば、未知の集成(シグマ)に悪態吐(づ)き生く夢想の主観(あるじ)を大事としながら、漆黒(くろ)い亘(わた)りを努力(ちから)に見て生く素人(ひと)の孤憶(こおく)が鋭く成った。分厚(あつ)い景色を感覚(いしき)に据え保(も)ち「幻想(ゆめ)の目下(ふもと)」で従者を引くのは、旧来独語(むかしがたり)の密(みつ)に合せる不浪の成果(はて)での未業(みぎょう)とも成り、緩む宙(そら)から孤独が堕ち生く「不頼続き…」の教裏(きょうり)に在った。分厚(あつ)い信義(しんぎ)が理郷(くに)を換えつつ旧い木馬の固陋を手にして、明日(あす)に倣える独理(ドグマ)の際(きわ)には幻(ゆめ)に見送る業者が立った。無意識(いしき)の裾に「落葉(おちば)」を掬える未活(みかつ)に澄み得た滑稽(おかし)な毒には、独り語(がた)りが堂々辿れる幻想(ゆめ)の一男(おとこ)の浅い語りが、密(みつ)に静まる未活(みかつ)の長(ちょう)にて「旧い回顧(レトロ)」を上々好(よ)くした。〝区切り〟を見知らぬ「不毛」の長(ちょう)には既知が寝そべる寝台(ベッド)が在って、朗(あか)るい自然(あるじ)が興(きょう)に覚れる「不幸の左翼」の源さえ在り、光る無知から胸裏を観るのは向かい仕立ての苦慮の傘下で…、易い行為に〝好意〟を憶える不頼の従者は魅惑を識(し)った…。真白(しろ)い独語(かたり)は延々近付く…。

 「不毛」に具わる旧(むかし)の自然(あるじ)は孤独ばかりに新調され活き、片言三言(かたことみこと)を呼吸に合せる旧い幻覚(ゆめ)から無牢(むろう)を遠退け、漆黒(くろ)い自主(あるじ)は現(うつつ)に冷め生く太い樹(みき)からその実(み)を投げ出し、夜半(よわ)の目下(ふもと)に落ち着く間際が朗(あか)るい調子をより明るくした。人間(ひと)に望める神秘(ふしぎ)の気色を固い〝法(ほう)〟から回顧(レトロ)に引き出し、幻想(ゆめ)の亘(わた)りを概(おお)きく見守る不幸に見守る巨輪(きょりん)の空間(あいだ)は、幻(ゆめ)に窄める不惑の相図(あいず)に段々逆上(のぼ)せる情(じょう)を按じて…、一人(ひと)の温床(とこ)から家督を譲れる不論の辛気(しんき)を傍聴して居た―――…。既知の空間(あいだ)に裾を見てから歯向かい続ける人間(ひと)の腕力(ちから)は、幻想(ゆめ)の孤独を紛れる真理(しんり)と、不毛の小敗地(アジト)に撤退し始め、相(あい)せる両眼(まなこ)に巨躯を牛耳る〝不論〟に活き尽(き)る具足(ぐそく)を識(し)った…。幻想(ゆめ)の文言(ことば)と滑稽(おかし)な体躯は浮浪に省ける独理(ドグマ)を得ながら、器用に基づく不安の木の根を未充(みじゅう)に燃やして慌てて行った。白亜(しろ)い景色が御殿に添うのは陽気ばかりの安泰ながらに、幻想(ゆめ)の巨躯から虚無に対せる「不安続きの独房」から成り、漆黒(くろ)い小敗地(アジト)の向うの方(ほう)には、脆弱(よわ)い撤廃地(アジト)の欠落さえ在る…。不安に基づく不頼の相(そう)から無闇に息衝く孤憶(こおく)が活き出し、幻覚(ゆめ)の初歩(はじめ)に遠退く「小敗地(アジト)」は責任逃れに努めて行った。過去の耀華(ようが)に燦々降(くだ)れる不倫を画(え)にした模造の佳日は、情事(こと)の無機から孤独を追い生く不浪続きの傘下を生育(そだ)てて、闇雲乍らに鬼畜を描ける不利を転じた〝矢庭〟を採った。旧(ふる)き好(よ)き日の「不相(ふそう)に駆られた事実」の陰には、暗(やみ)の日々から絡み始める〝夢想〟の概(おお)くを疎外して居た―――…。旧い〝蹴鞠〟の上手(じょうず)の裏には「暗(やみ)に転じた私想(しそう)」が窺え、分厚(あつ)い結界(かぎり)が孤高に吠え得る未開の四季(きせつ)が横行して居る…―――。

      *

 ―――…硝子器の破片で、右掌(みぎてのひら)を怪我した老婆が居た。結構その傷は深かった。その怪我した右手を左手で抱えながらその老婆は、やがて直ぐに遣って来た俺の元職場の上司のような若い男に解放されて居た。この老婆を俺は知って居り、確か、老人施設で働いて居た時に利用者として来て居た老婆である。名前を高岸と言ったかも知れない。その硝子器の破片とは、その塵箱(ごみばこ)が置いて在る家の居間で出た不要物であり、「要らなくなったから」と俺が捨てた。何か要る物を作って居た時に偶然出来た大鋸屑(おがくず)みたいな硝子器の破片だった。

      *

 未来(さき)に死に逝く孤独の活命(いのち)が矛盾に咲き得る未亡を掌(て)にして、田舎の悪魔を宙(そら)へ返せる苦慮の脚力(ちから)を振奪(ぶんど)り始めた。少女(おんな)の宝を孤高に預けて幻想(ゆめ)の一男(おとこ)に口説ける朝日は、幻覚(ゆめ)の清閑(しずか)に具体(からだ)を仕留める徒労の恋から女性(おんな)を引き出せ、分厚(あつ)い夜霧を暗(やみ)へ遣るのは矛盾に仕立てる労苦であった。苦行の好(よしみ)を人間(ひと)へ吐き出す日々の憂慮の脆(もろ)い不思議は、男女(ひと)に詰め寄る滑稽(おかし)な神秘(ふしぎ)を孤独の角(かど)から段々追い駆け、明日(あす)の朝陽に揚々知れない「旧い表情(かお)した独理(ドグマ)の姿」に、幻(ゆめ)の労苦は段々透れる未活(みかつ)の進歩を通じて行った…。男性(おとこ)の界(かぎり)を御殿に覗ける虫の息など日々に埋れて、退屈凌ぎに寝相くすねる日々の憂慮は機嫌を盛(さか)らせ、幻(ゆめ)の仄かに緊張して生く「退屈凌ぎの場末の門(もん)」には、男性(おとこ)と女性(おんな)の微かな寝息が唐突崩れ安泰して居た…。苦労を高める使途の仰ぎは無垢の調べに落ち度を揺らして、男性(おとこ)の孤憶(こおく)を連想(ドラマ)に返せる「素人(ひと)に落ち着く文言(ことば)」と並べて、暗(やみ)に徹する孤独の蝶には、幻想(ゆめ)の在り処を群散(ぐんさん)して居た。白亜(しろ)い四季(きせつ)がどんどん晴れ生く気楼に崩れた旧(むかし)の旧巣(ふるす)は、幻覚(ゆめ)の身辺(あたり)で呼吸(いき)をして居る浮浪の思乱(あらし)の経過(ながれ)に立った。幻覚(ゆめ)に始まる四季(きせつ)の流れは男女(ひと)の孤憶(こおく)を夢情(むじょう)に徹して、分厚(あつ)く流れる人間(ひと)の展開(ながれ)を孤踏(ことう)の初歩(はじめ)にずんずん置き遣り、幻(ゆめ)の寝間から「紐」を解(と)くのは殊に大きな憤(むずか)りでもある。一女(おんな)の容姿に従順(すなお)が飛び交い暗(やみ)に纏わる〝打ち出の小槌〟は、孤独と遠叉(えんさ)に遠退き始める幻(ゆめ)の律儀に棺を観た儘、不能に名高い枯渇の動義(どうぎ)を隈無く捜せる理解を識(し)った…。朝に纏わる不動の煩悶(なやみ)は起死に寄り着く不動を観た儘、阿呆の〝奈落〟を美味に翻(かえ)せる旧い掟をそのまま観た儘、蒼い四季(きせつ)を情(じょう)に任せる不頼続きの悪義を識(し)った…。一人(ひと)に覗ける無謀の千夜(せんや)は「幻想(ゆめ)の初歩(はじめ)」に孤独を見た儘、真白(しろ)い景色を既視(おおめ)に見て行く浮浪の一種を詰問しながら、朝な夕なに一人(ひと)を統(たば)ねる虚空(そら)に対する身元を知った。男女(ひと)の脆味(よわみ)を時計に計れる与奪の神話を街へと誘(いざな)い、明日(あす)の高嶺に未来(さき)を託せる浮浪続きの芥(あくた)の揺れには、天に代わりて悪魔が従い、幻想(ゆめ)に護れる女性(おんな)の揺らぎは人間(ひと)の走馬を程好く恋して、分厚(あつ)い途切りにその実(み)を隠せる旧い夜空を追い駆け始めた―――。

 白雲(くも)に眺める孤高の四季(きせつ)は未知の既憶(きおく)に悶絶した儘、幻想(ゆめ)と神秘(ふしぎ)と蝶の欠片(かけら)を未物(みぶつ)に与(あず)けて人間(ひと)を安らげ、一人(ひと)に初まる未活(みかつ)の意味には私闘に湧かせる表情(かお)など手懐け、明日(あす)の夜霧に憤悶(ふんもん)して生く固陋の小敗地(アジト)を概(おお)きく識(し)った…。

 無像の思乱(あらし)に毛玉が出た時、無心の木の葉は散々散らされ、盗賊紛いの一人(ひと)の悪魔に「刈り入れ時」から空虚を報され、未知の具体(からだ)を景色に見惚れる幻想(ゆめ)の盲下(もうか)の灯(あか)りの許容(うち)では、端正(きれい)に流れる不幸の水面(みなも)が女性(おんな)の孤独を上手(じょうず)に描(か)いた…。無知の調べに奥義(おくぎ)を知らされ不幸の相図(あいず)に形象(かたち)を観た時、幻想(ゆめ)の目下(ふもと)に見守る優雅は未知を携え不惑を掌(て)にして、男性(おとこ)の生憶(きおく)を勝手に象る無論の不和には幻(ゆめ)が活き着け、不幸を想わす不慮の初歩(はじめ)は未知の宙(そら)へと弾けて入(い)った…。幸福ばかりに身躍(みおど)りしながら錯乱して生く気楼の仄香(ほのか)は、夢限(むげん)に仕留めた幻想(ゆめ)の許容(うち)での分厚(あつ)い展開(ながれ)の呼吸の仕業で、白亜(しろ)い気色が浮(ふ)んわり跳び生く無陋(むろう)の孤独に文言(ことば)が成らずに、幻(ゆめ)の感覚(いしき)が固く立つまま思牢(しろう)の分野は活性して行く…。初老に漕ぎ出す不死の進化は身音(みおと)に歪める軽音(おと)など育てて、女性(おんな)の育児を揚々絶やせる旧い明日(あす)から児(こども)を排して、安い景色を漆黒(くろ)く語れる旧い千夜(とばり)は感覚(いしき)に成らずに、一人(ひと)の数多を地上に敷け得る「見積もり上手(じょうず)」を私運(しうん)に採った。奇妙に流れる固陋の一種は無刻(とき)の鳴るまま白雲(くも)に隠され、未知の寝音(ねおん)に歯軋りして生く浮浪の一種と同様にて成り、分厚(あつ)い宙(そら)から進化を象る不穏に名高い孤独の文言(ことば)は、幻想(ゆめ)の小町に上々懐ける未来(さき)の生憶(きおく)の温味(ぬくみ)でもある…。一女(おんな)の片手に一男(おとこ)が縛られ、夜目(よめ)の肴に男性(おとこ)が散るのは、向い合せの桜(はな)の寝音(ねおと)の〝潺(せせらぎ)〟から成る空虚に通じ、明日(あす)の孤独を二性(ふたつ)へ転じる「無想の奈落…」を枯渇へ遣った…。生死に刻める旧(ふる)びた柔裸(やわら)は無為の要局(かなめ)に未来(みらい)を先取り、安い形象(かたち)に未完(みじゅく)を配せた「幻(ゆめ)の人頭(どくろ)」は道理を報され、自滅(ほろ)びる熟慮は未来(さき)を識(し)らない不穏続きの生気を観る時、幻(ゆめ)の無様を自活(かて)に採るのは無闇矢鱈の節操だった…。一人(ひと)の生気を精気に観る内、日照り続きの具体(からだ)の跡には、幻想(ゆめ)の軟裸(やわら)が仄かに揺らげる未応の景色に基づき乍らも…、分厚(あつ)い奈落のその実(み)を迷わす不義の説明(しらべ)をそのまま呈して…、幻(ゆめ)の孤独と人体(ひと)の枯渇を運好く見積もる大手を振った…。分厚(あつ)い展開(ながれ)に空壁(かべ)を想わす不良続きの御託の目前(まえ)では、安い八頭(おろち)が身悶えしながら、天空(そら)の前から気牢(きろう)を費やし、幻覚(ゆめ)の初歩(しょほ)から未来(さき)へ始まる〝向い合せの愚弄〟を採った…―――。

      *

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