第3話 日常
「まったく、、、こんなに怪我しちゃって。服も泥んこにして」
「痛っ、、、」
「我慢しなさい。もっと早く手当してればマシだったのよ」
ピエールが一方的に殴りつけ僕がそれに根気で齧り付くという泥沼化した喧嘩はお互いをボロ雑巾のようにした。その上怒られるのが嫌で帰ったのは夜がふけ始める頃だった。おかげで汚れた傷口は酷いことになってしまったし腫れた部分も青く変色してしまっている。
「まったく、どうして仲良くできないのかしら?」
「別に母様には関係ないことだよ」
「どうせまたこの生意気な口で怒らせたんでしょ」
むにぃーと頬を引き伸ばされる。毎度のことだからわかるが怒っているようで本当に心配してくれているのだろう。
「あひぃつがわるぃんだひょ」
先に手を出したのはピエールだ。だからあいつが悪いに決まってる。
「はっは、まあ子どもなんだからいいじゃないか。エル君がいればそうそう酷いことにはならんだろうしな」
「十分酷いですよ。そのうち骨でもおっちゃいそうで見てるこっちはひやひやなんですから」
「確かにな。よし、なら今日は上手な骨の折り方を教えてやろう」
「あなた??」
「はは、じょ、冗談だとも、うむ。ユーグ?あまりやんちゃしてはならんぞ?」
父様はとても博識で普通じゃ知らないこともよく知っている。僕はその話が毎日楽しみで今ある僕の知識の半分はここかきていると言いていいくらいだ。でも見た通り母様の尻に敷かれた座布団なので逆らえないんだ。骨の折り方とか面白そうなのに。
「はあ、あまり変なことを教えないでくださいよ。この前も水時計?を作るとかで庭に穴ほって水浸しにしようとしたり、レンガを焼くとか言って炉を作ろうとしたり、本当に困るんですから」
「だって水時計はある程度大きさを取らないと正確に測れないし炉だって高音を保つにはある程度の大きさで螺旋状に組まないとだし煙突とか空気孔も必要なんだよ」
「はあ、あなたもなんか言ってくださいよ」
「うむそうだな。正確に時間を計りたいのなら水ではなく
「あなた???」
「オホンッ、陽時計や釜土はおいといて、あまり母様を困らせてはいかんぞ」
すごい薄っぺらい小言だ。
「ええ、その通りですよ。あまり困らせてはいけませんよ、ねぇあなた?」
「え?わし?」
「ええ、そうですよ。あまりいうことを聞かないと、、、ね?」
「はひぃぃ。」
怖、一瞬後ろに黒いオーラが見えた気がする。普段おとなしい人ほど怒らせたら怖いというのは本当だな。頬を引っ張られながら謝る父の姿な滑稽というより哀れだった。
「ユーグもよ?」
「ハイッ!」
これからは喧嘩も実験もほどほどにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます