第24話 人魚の胴体部分の味を知りたい。
この辺りには季節がちょっとあって、時が流れると寒くなる。つっても雪とかは降らないので、もと道産子にしてみれば大して寒くはないけれど、そういう場合にはやはり鍋料理とかが増えてくる。そうなるとやはりすき焼きが恋しくなるのであった。
で、塩はあるんです。この辺はド内陸なので、塩商人から買い取る分安くはないが、まあある。最悪岩塩を取りに行っても良い。砂糖もある。どっかにサトウキビらしきものが生えているんであろう。まあ、細かいことはどうでもいいのよ。「ある」ということが大事である。
問題は、醤油がねえんだよね。で醤油って、どうやって作るか知ってますか?
いや俺は小学校の頃、キッコーマンしょうゆ工場で見学したことがあるので皆さんよりは詳しいかもしれないが、にしたって大して知らないよ。まず最初になんか麹玉みたいなのがあってね。それを茹でた大豆に混ぜ込んで……? なんか、もろみを作って……?
ということで、醤油テストをしてみたいが、こんだその手前にはまず豆がいる。大豆は豆腐作りにも使いたいし、豆って以外とすき焼きの隠れた重要ファクターであるが、まあ、久しぶりのアキネイター魔法も「豆」には反応してくれないのであった。「豆」は「豆」で良くないか? ええ? と思うが、とりあえずこれは片端からキライト君に取り寄せて貰って、それらしいものを探そうと思う。
春菊はマジで分からん。まあ春菊というからには、普通の菊は秋とかに咲くのであろうか。ということは、菊っぽいけど春に咲く菊で、そんで、食えるやつ。秋にこう……巨大たんぽぽみたいな……そもそもたんぽぽあるのかなあ……花弁が多い花でサア!! まあ、これは百歩譲って無くてもいいか。と思うが、あるならぜひ食いたい。秋に目立って咲く花に似た花が春にも咲いて、そんでそっちの方は食える花、あったら送ってください。今俺かぐや姫の無理難題みたいなこと言っていませんか??
という日々の中、牛っぽい存在の連絡がついに来た。しかし、肉が届いたわけではない。それはオピオタウロスと呼ばれているらしい。いいね! タウロス!! 牛だねえ!! と思うが、キライト君から見ても、「かなり牛でした」ということだった。ただし――
「尻尾は蛇とか魚みたいな感じでした。どう思います?」
どうったってねえ。人魚。尻尾のらへんはおそらく魚味である。腹のあたりは?
でもまあ、肩ロースが取れりゃアいいわけで、肩まで行ったらそれはもう牛なんじゃあなかろうか。ぜひ取ってみたい。この世界に来て、今この瞬間が一番ワクワクしてる。行きますか! オピオタウロス討伐に!!
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