第23話 屋根のあるところで眠りたい。

 ユスラたちも屋敷に招かれ、ついでに飯もごちそうになって、屋敷の一室に泊めて貰えることになった。考えてみると、これまでしばらく野宿が続いたから、屋根と壁があって、ベッドがあるところで寝るの久しぶりすぎて、めちゃ即寝したいところだったが、一応キライトくんからの依頼――というのが正しいのか分からんが、とにかく、ここより北にはあんまいかないプランについてどう思うか聞いた。


「私は別に、そもそも旅に出ようって言ったのは兄さんだし(それもそうだ)。別にいいよ」

 とはユスラの弁だ。なんか、ちょっと待ってる間にもう友達ぽい人とかも出来たらしいから、ここで暮らすならその人たちと遊べるねって感じらしい。コミュ力ありすぎワロタ。なんであんな森の中でイツメンとだけ暮らしてて育つんだよその能力。


「一生この町で暮らすかどうかはわからないけど、しばらく滞在して、それこそ橋を掛けたり、地図を作ったりするというのはいいね。僕たちも、目立ちたいわけではないし」

「そうね。私たちは、もしかしたらなるべく沢山魔力を使って、目立たないくらいになったら出ていくかもしれないけれど……。しばらくここで過ごすのは問題ないわ」


 ということで、いやまあ俺も別に一生住もうとは思ってないし、キライト君が権謀術策の限りを尽くして王国を簒奪とかしたらもっといろんなところに行けるんだろうし、それでいいかなみたいな。じゃあ、そういう話を明日しまーす、ということで、めっちゃ久しぶりに心から安心してぐっすり眠った。やっぱ屋根と壁があるというのは悪くないね。すき焼きの次に良い。


 で、翌朝キライト君にそれを伝えたら胸をなでおろしたような顔をして、街はずれの屋敷を提供してくれた。別になんか事故物件とかではなくて、ここに越して来たばかりの時に住んでいた家だそうである。町が拡大していって、まあ「伯爵家」ということである程度箔のつきそうな屋敷を建てるかあということでさらにデカい家を建てたということであった。

 ということでその家に越して、でいくばくかのお金を貰って(貨幣経済があった)、町をあちこち散歩したり、レストランで食事をしたり、なんか作業している人がいたらそれを手伝ってみたり、そういう感じのFIREした人の生活(創造)みたいなことを1月くらいやってたが、まあ、ちょっと飽きるよね。ということで、橋を架けるのは無理にしても、あの川沿いをちょっと歩いて、まずは地図でも作るかいねということで、久しぶりに旅に出たりもした。


 そうこうしているうちに、あっというまに半年ほどの時が流れた。

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