カクコン10【短編】複数応募キャンペーン第2回「雪」

三雲貴生

第1話完結

第2回「雪」


 年末、ボクは野良猫を拾った。


 白ネコだったので、ゆきと名づけて可愛がった。


 でも、


 ゆきは春先に消えてしまった。


 まるで冬に降る雪のように……



❅  ❅  ❅



 ゲームの世界では協力型RPG ONLINEが流行していた。


 ネット上でアバターと言う、ゲーム世界の別の自分を作って、中世ヨーロッパ風の世界で剣と魔法のバトルを行う。


 加えてAIを使ったランダムダンジョン生成。


 毎回違った狩場を提供してくれる。


 AIはプレイヤーの実力によって狩場主ダンジョンボスもランダムに出現させた。


 最初のイベントは、RPGクリスマスイベントだった。


 ダンジョンマップを移動すると、小さい街や城、森の3D絵にマンガの吹き出しで狩場が表現されていた。


 小さい山に『クリスマスイベント開催中』の吹き出しが今回の狩場だ。


 炎のイフリート(炎を吐く火属性の竜が狩場主のダンジョン)


 ボク、終始おわりはじめは、クラスメイトでネットゲーム仲間とイベントに参加していた。


「名前をつけよ!」


 イベントの最初に目の前に文字が表示された。


狩場ダンジョンの名前?」


狩場主ボスの名前?」


 ボスの名前らしい。


「いやイフリートで良いだろう?」


 こんな事は初めてだ。


「バグ?」


 疑いながらも、初めはみんな強そうな名前をつけた。


 3位までの名前が表示されてルーレットが回る。


 ボスの名前決定。


『最強のイフリート』が立ち塞がった。


 名前の最初に『最強の』が付くと攻略不可能なくらい強いボスが出現するのだ。


「これ年末までかかりそうだね?」と困り顔で友達が言った。


 総勢20人(フル)の戦士が討死した。


 12月20日の事だった。





 4日後、20人(フル)の戦士が集まった。


 今日は全国的に雪の降る予定。


「みんな窓の外を見て!」


 みんな一斉に窓の外をみる。


『雪』

『ユキ』

『ゆき』


「名前をつけよ!」


 3つのスロットに同じ名前が出揃った。


『最弱のゆき』が立ち塞がった。


 名前の通りだった。


 雪の属性を持ったイフリートは、自らの炎の熱で自滅した。


「よえー」


「あっけな」


 クリスマスイベントをクリアした。


 みんなかき氷のアイコンを貰った。


 今年は『かき氷のアイコン』の戦士が沢山現れた。



おしまい

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カクコン10【短編】複数応募キャンペーン第2回「雪」 三雲貴生 @mikumotakao

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