第41話
そう、昨日の夜中。
クラスの任意男子で構成されるLINEグループにこっそり送られてきたURL。
タップすると、誰がどこでどのように落としてきたのか最近イチ推しの清純派AV女優が制服姿であれやこれやお世話してくれる学園モノのエロ動画だった。
しかも、カメラは彼氏視点で作られており、液晶の中に彼氏役の男優は映ることはなく、女の子が可愛らしくこっちを見上げてくる仕様だ。
ほんっと、好きだよな…。
自分の部屋で苦笑い。
もちろん俺も嫌いじゃないけども。
このチョイスは制服好きな本多あたりか?
当然、友人の長谷川翔や室井司もグループメンバーだ。
二人とも見てっかな。
あっという間にグループ全員の既読がついたのを見て、俺は一人にやついた。
翔には佐原が、司には小菅がいる。
でも。
「そういうことじゃねーんだよなー♪」
スマホの向こう側で気持ち良さげに目を細める少女のサムネネイルをタップしながら、俺はイヤホンをジャックに挿した。
エロ動画自体は好みじゃなかったものの、男視点での絶景をしっかり記憶してたらしい。
結が自分の一部をぱっくんしてくれる卑猥な妄想が炸裂する。
う、わぁ……っ!
一度思い出すとアウトで。
「んむ…む…」
(『…はぅ…んふ、ぅ…』)
頬張ったパイを一生懸命飲み込もうとする動きすら妄想を煽る都合のいい素材でしかない。
身体中がぐわぁっと熱を持ち、正常な思春期ど真ん中の高校男子として当然の反応が起きる。
ヤバいヤバいヤバい……っ!
「理くん??
…顔真っ赤…どうしたの…?」
どうにかパイを飲み込んだ結は、いつものように心配しておでこに触ろうと手を伸ばす。
ある意味、全くもって心配ご無用だ。
「ちょ、ちょ待てっ!顔近い!結!
こっち覗き込むなっ!!!!」
昨日の夜は全然だったのに、こいつの仕草だけで反応するとかどんだけチョロいんだよ俺っ!
今、結に近付かれたら絶対バレる。引かれる。
必死に仰け反る俺にますます訝しみ、結は席を立つと机から身を乗り出す。
させじと結の腕を掴んで押し戻す。
ガラガラガラッ!
そんな二人の攻防に割って入ったのは、教室の扉が勢いよく開く音だった。
息を呑み振り向いた先に佇んでいたのは、友人の長谷川 翔。
翔も今日はサッカー部は休みなはずだ。生徒会で忙しい佐原を手伝ってたのか?
明らかに機嫌の良い翔が、固まっている俺たちに気付き目を見開く。
火照った顔で結の腕を掴んでいる俺を見て。
机の向こうから身を乗り出している結を見て。
数秒沈黙した後、
「あー…うん。お邪魔しました?」
回れ右。
教室から出て行こうとする翔を音速の速さで捕まえ羽交い締めにする。
『へっ!?理??
うわぁ?なんか、本当ごめん?』
「謝るなぁあぁーーーー!!」
身体が密着したことにより自分の熱がバレた恥ずかしさといたたまれなさで翔を結の方へとぶん投げる。
「ぶ、部室に忘れもんっ!
結、待っとけっ!!!!」
そう叫ぶとそのまま脱兎のごとく教室を飛び出した。
敵前逃亡。
いや勇気ある撤退か。
結のばっかやろーーーーー!!!!
耳の先まで赤い一年男子の爆走を廊下の生徒があっけにとられながら見送った。
『甘くて美味しいのは分かってるけどなかなか手が出せないもの』
大好きな少女を思い描きながら。
悩める理少年の青春は続く。
〈scene end 〉
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