第25話
俺は環の前の椅子にどっかり腰掛け頬杖をつく。
そしてそっと手を伸ばすと、わざと涙で濡れた頬を強くこすって涙を拭った。
俺の態度が豹変したことに涙も引っ込みポカンと俺を見つめる環。
アホ面…
離れてせいせいすると言われたり、忘れろと言われたり、こいつも大変だよな。
まぁ、半分は環のせいだからいいか。
俺はその自由闊達な気性を羨み勝手に拗ねて。
一緒にいると惨めになるからって突き放して別々の道を進もうとして。
でも、こんなにも彼女が俺を求めてくれるなら、自分にも何かできるのかもしれない。
試すことを許して欲しい。
俺は環の手元を覗き込みながら
「で、どうやるんだよ」
と問うた。
「?」
「イメージは自由って言ってたろ。俺も…やりたいこと、ある。
どうすればやりたいこと叶うんだ?」
「…!!!
う、うん!あのね、お気に入りのペンとノートを用意して…」
ずび、と鼻をすすりながら環は笑顔を見せる。
どうせなら、お前の隣にいられる未来を夢見よう。
イメージするのはタダらしいから。
いつまでも、環の笑顔の先に俺がいられますように。
〈scene end〉
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