ほんと分かりやすい

第13話

1-Cのお昼休み(翔×理×司)

(バタバタバタ…教室に近づく足音)


ガラガラガラッ!

「うっひゃあ〜!外さっぶい!!!

教室あったまる〜。


お!なぁなぁ理!司!」

「おー♪翔どした?学食激混みだったろー?」

「うん!外すっげー寒い!ほらっ!」

「うわ!翔の手、本当に冷たいねー。

ほら貸してみ、あっためてあげる」

「えへへ♪司の手おっきいなー!

でもさ、もう少し寒くなったら雪降って、中庭でみんなで雪遊びできるな♪♪」

「ははっ!

本当にお前中庭で遊ぶの好きだよな。

夏はホースぶん回してビショビショになったし、今度は雪かよ」

「いいだろー楽しいんだから!

言っとくけど、一番テンション上がってたの理だからなー!


…あそうだ、理。

理って隣の中西と幼馴染なんだって??」

「お?おう!そうだけど…中西がどうかしたか?」(ドキドキ)

「ううん!

オレ以外にも幼馴染いるヤツがいて嬉しかったから!!!」

「な、なんだ。そっか〜♪」(ホッ)

「そうだよなー!

幼馴染と手つないで帰っても別にいいよなー」

「!!!

…翔、お前それ…!?」(ドキドキドキドキ)

「ん?この前の日曜日、理と中西が2人で隣町の図書館に入ってくの見たぞ!」(ニパッ)

「バカ翔!声でけーよ!

…お前、そのこと絶対他の奴らに言うなよ?絶対言うなよ!?」(アセアセ)

「ふふっ」

「なんだよー

司1人で笑ってるなんてずりーぞ!」

「ごめんごめん、理の百面相が面白くてつい」

「ば、ばっか!俺は別に…」(アセアセ)

「翔なんて分かり易すぎるくらいご主人様一筋なんだから。そのご主人様の友達が悲しむようなことしないよね。

理も、隠しておきたいくらい大事なのは分かるけど、それが返って傷付けちゃうこともあるよ?」

「司!」

「オレのご主人様?」

「うーん、翔の場合一番近くで自分のこと見てて欲しい人ってことかな?」

「??」

「この前俺が佐原と好きな映画の話しで盛り上がってたら、お前ふて寝しただろ。

あれだよ!あれ!」

「ご主人様っていっこのことか?

あれは!2人が俺の知らない話ししてつまんなかったからだろー!」

「それでふて寝とか、子どもか!」

「はいはい、2人とも」

「司だってなー!

隣の家のくせに、小菅とちょいちょい一緒に帰ってるだろ!」

「うん?

だって、俺の大切な子だからね。

可愛いから変な虫付いたら困るよね」(ニコニコ)

「………司の笑顔、怖えぇ」

「(こくこく)」

「もう泣かせないって決めたから。

それは翔も理も同じでしょ」

((ぐうの音も出ない))

「幼馴染って近いようで遠いからね。

佐原さんも中西さんも、他の男子に人気あるって知ってた??」

((ビキッ))



(…暫しの沈黙…)



ガタッ

「…ちょい、中西に現国の教科書返してくるわ」

ガタガタッ

「お、オレも!いっこのとこ行ってくる!!」

「はいはい、2人ともいってらっしゃーい」





昼休みの喧騒の中ーーー


「…うわっ!翔、そんなに焦ってどうしたの?


うん?顔見に来ただけ?…ちょっ、バカ…うぅ、そんな顔しないでよー…ごめんてば。ほら飴あげるから。よしよしイイコイイコーーー」




「…倉永くん!?

えっ!えっと…あ、あの、教室まで返しに来てくれると思わなかったからびっくりして……

ううん嬉しいよ!ありがとう倉永く…うん?下の名前って…理くん、でいいの?

だって前に恥ずかしいから苗字でって…そ、そんなことないよ!ありがとう理くん。


え?今日…??

うん、部活休みだから大丈夫だけど、うん、うん、本当?嬉しい!

うん、じゃあ放課後ね。

…え?今、結って名前…あ、ううん!なんでもない!

ま、またあとでね理くん!」

(学校で初めて結って呼んでくれた…ーーー)



(パタパタパタパタ…♪)

(教室に、自分の机に帰ってゆく足音。

その足取りは友人が思わず吹き出すほど弾んだものだった。)



〈scene end〉

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