第12話

予鈴が鳴り、俺と親友は自室に戻る。

席に戻った途端、親友は次の授業の用意をする振りをしながら、意地の悪い笑みを浮かべ、

「隠せないくらい嬉しいなら、素直に嬉しいって言えばいいのに。」

と俺をからかう。

「うるさい。」

あの時は危なかった。

彼女の親友が抱きしめてなかったら、俺が抱きしめてたと思う。

まっすぐな瞳で、心の底から信じてる笑顔で「大好き」なんて反則だろ!

にやけ顏が堪えきれなくて、口元を覆い、変な顔になってたと思う。

困る。

どんどん我慢できなくなっていく。


でも、あいつが棒アイス食べてるところを見たときは、正直焦った。

教室の男や廊下の奴らもチラチラ盗み見をしては、「やべ…」「エロいな…」なんて騒いでたから、相当な破壊力だったんだろう。

普段の可愛らしさとそぐわない卑猥(に妄想が止まらない)な行為のアンバランスさは、彼女に見慣れた俺でさえ目を見張り引き寄せられる。

汗ばんだ制服の胸元から見える鎖骨、アイスを頬張って膨らむ頬、美味しそうに舐めとる小さな紅い舌。

いろんなところが反応する…。


「おーい。幸せに浸りすぎると足元掬われるよー?」

からかう親友の言葉はそう遠くない未来を暗示していたのかもしれない。


〈scene end〉

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