第6話 HR終了
メンバーに選ばれた男子の中の痩せているけど、身長が高い安西くんが須川くんの席に近づいてきた。
「オレらも、何かしなくていいの?」
周囲を見渡しながら、遠慮がちな言い方。
須川くんはチラと視線を上にあげて、手をひらひらと揺らす。
「しなくていいの、いいの」
やる気無し全開の返事をして、また机の上に突っ伏す。
それを見た安西くんは、小さく溜息をついて、自分の席に戻って行った。
ここまでやる気が無いというか、適当と云うか……。
私は楽で良いけど、徹底しているなぁ……と感心したりするくらい。
そのまま時間が過ぎ、HRも終わって、そのまま小休憩時間に突入。
既にグループのメンバーは固まっていたままだから、急に騒がしくなる教室。
私はいつものように、読みかけの小説を取り出して、パラパラとページをめくっていると、教室の扉が大きな音を立てて開き、顔をチラリとあげて扉の方に向ける。
と――そこには教科書を持った手を、大きくこちらに向けて振りながら
「樹ー、これーっ!」
さっき、須川くんが教科書を渡していた男子の大きな声が響く。
クラスのみんなの視線を一身に受けながらも、気にする風でも無く、良く言うと『マイペース』
悪く言うと『自分勝手』な性格だろうなと分析する。
きっと、私とは合わない派だろうな……。
なんて思うけど、私と波長が合う人の方が少ないかも知れない。
机に突っ伏したまま、肘から上をあげて手をひらひらとさせている隣の席の須川くんも、似ているかも知れない。
けど、須川くんはもう少し、なんて云うか……さりげない気遣いができるから、マイペースではあるけど、空気もちゃんと読むんだよね。
うーん……不思議な人だ。
逆に私は、周囲の目を気にし過ぎるのかも知れない。
素っ気なくて、無愛想で、可愛気なく振舞っているけど、それは擬態。
周囲の視線や評価から身を守るための手段だと思っているから。
こうやって人を観察するのも癖みたいなモノ。
手をひらひらとさせていた須川くんの手が、おいでおいでに変わると、ズカズカと教室内に入ってくる。
すぐ近くまで歩いてきては、私の視線に気が付いたようで、私の顔をマジマジと見てきて
「ん?何かイヤな事でもあったの?」
私と、いつ友達になったんだろう?って、くらいに普通に喋りかけてくるから、少し驚いた。
うん、やっぱり『マイペース』だ。
でも、人の目を気にしない性格って、少し羨ましいなぁと思ったりもした。
*************
いつも通りノロノロとしか話が進みません……(平常運転)
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