第5話 メンバー決定

 ふと、私が断ったらどうなる?って、考えたけどグループ間のしがらみとか色々とあるし、それはあまり良いアイデアとは思えない悪い想像しか出来なかった。


 まぁ……みんな揃って下手で無様なプレイを見られて、笑われる方が面倒事にならないかなって結論に達した。


 古町さんと上田さんの方に視線をそれぞれ向けて、視線で『仕方ないよね』って、訴える。


 伝わったのか、二人とも『そうだね』って、顔をしていた。


「ねぇ、私たちの代わりに久保さんのグループから女子を選んだら?」


 とは言っても一応は、提案だけはしてみた。

 隣を見れば、須川くんは机に突っ伏して、スーパーダルダルモードだった。

 面倒くさそうに、ゆっくりとこちらに顔を向けて、前髪をそっと掻き上げて


「断る。言っただろ?面倒なのはイヤだって」


 少し不機嫌そうな口調。

 でも、清々しい程に即答で、却下されてしまった。

 分かってはいたけど、こんなにも即答とは、予想外だった。


 華やかな女子グループのリーダー格の久保さんが、何も言ってこない事を祈ろう。


 仮に私たちに何か言ってきても、リーダーの須川くんがアレだからね。

 私たちだけでは、どうにもならないんだけど……。


 メンバーに選ばれた、男女12人はそれぞれ、既に作戦会議に突入していた。

 こういう場面では、応援する係の久保さんのグループは、チアの服の事や振付とか応援の掛け声とかの話を賑やかにするパターンだけど、今に限って言えば、席から動かずに地味グループを恨めしそうに見ているだけ。


 そんな目で見られてもなぁ……。

 それにしても……華やかなグループの女子たちもさることながら、このやる気無しダルダル星人が、そんなにいい?と思ったり。


 決して須川くんをディスっているわけじゃなくて、あの子たちも可愛い組で、それなりにモテるんだから、須川くんに拘らなくてもって意味でね。


 ほら、背も高くないし、マッチョでも無いしさ。

 かと言って、中性的な美少年タイプかと言われると、違うし。


 あの子たちが好みのタイプって、そんな感じの男子だと思うから。

 って云うか、普段からキャッキャと理想の男子について熱く語っていたよね。


 久保さんのグループが恐るべしなのか、須川くん恐るべしなのか……。


 ワイワイガヤガヤと話すグループ、適当に時間を潰すグループ、教科書をひらいて予習なのか復習なのか勉学に励んでいるグループ、私たちをジーっと観察するように見てくるグループ。


 はぁ……思いっ切り溜息をつきたい気分。

 ホントに面倒くさい。

 このまま私たちに何も無ければって条件付きだけど、そこに関しては須川くんに激しく同意するよ――。

 

 

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