第4話 メンバー入り?

 まぁ……どうせやる気の無い男女混合チームだし、当日も適当にお茶を濁すなら、自分がやっちゃえばいい。

 そんな感じに見えた。


 へー、須川くんらしいと云うのか、らしくないと云うのか……。

 運動は得意なはずだから、メンバー入り事は意外でもないのだけど、自分からするって言いだすタイプじゃなかったように思うから。


 色めき立つ、久保玲奈を筆頭とする華やかなグループの女子たち。


「あたしもやろうかなぁ……」


 なんて声が、須川くんの顔をチラ見しながら、『メンバーに選んで』アピール。

 どこから声を出してるんだろう?って、思うくらいの甘い声。


 久保さんも、そのグループの女子もルックスは良いんだし、ああやって甘え上手なのが、男子からモテるんだろうなぁとも思ったりする。


――私も今の自分になるまでは、あんな感じだったのかな?

――中学の時とかどうだっけ?

――上手く思い出せない。


 その声は聞えていたはずなのに、須川くんがメンバーに選んだのは――。


「じゃあ、村瀬さん、古町さん、上田さん、あと男子は……安西と筒井で」


 意外な人選に、小さくどよめきがあがる。

 もちろん、選ばれた私も例外ではなかった。


『小さく』なのは、男女混同チームなんて興味はなくて、誰でもいいって人ばかりのはずだから。

 だけど、須川くんが選んだメンバーは全員が全員、運動が得意とは言えないメンバーで、その点ではどよめきがあがるのも分かる。


『メンバーに選んでアピール』していた久保さん達が、抗議しているだけでもある。

 もちろん、私も抗議するつもりだし、メンバーを誰かと変わって欲しいとすら思っている一人だったりもする。


 ちなみに、古町さんと上田さんは、私と形成している地味グループの友達。

 二人とも困った顔をしているし、私と違って他の女子に睨まれて、身体を小さくして無言で俯いている。


「なっ……」


 私は隣の須川くんを見て、口をパクパクさせて『何で?』と訴える。


「ん?いいじゃん。うるさいの面倒だし。どうせ誰も期待してないんだし」


 シレっとそんな事を言ってくる須川くんの意図は分からなくもない。

 改めてメンバーを見ると、確かに面倒くさい事にはならなさそうな人が見事に集まっている。


 確かに、この人選は納得できるけど、そもそも運動が苦手な私としては、人選以前の問題でもある。

 それは、私と同じで運動が苦手な古町さんも上田さんも同じだろうと思う。


 さて、どうしたものか――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る