覚醒
俺の耳に入ってきたのは魔物迎撃部隊の壊滅の報せだ
オルターの街は他の街に比べ武力が高いため勿論迎撃部隊の強さもほかとは一線を画す実力の持ち主たちの集まりだ
それが壊滅だその事態がどれほど深刻なのかはオルターの街の住人の狂乱ぶりを見ればわかるだろう
街が喧騒にまみれる、喧騒と言っても街特有のほのぼのとした雰囲気ではなく生きるか死ぬかの瀬戸際を歩くものたちの危機迫った者たちの喧騒だ
「おい!あんた召喚士だろ?頼むこの街を救ってくれ!」
街中の1人にそうお願いされる
「悪いが俺の召喚獣は後方支援向きだ、悪いが俺にはなんともできない。しかもあの武装派集団の壊滅だあんたにはどれほど深刻なものかは理解しているはずだ」
たじろぐ男
「それは分かってるさ、けどよここに嫁さんと住んで10年近くになる。そんな俺の故郷を壊されるのを見てるだけってのは辛いんだ」
男から紡がれる言葉は悲しみで溢れていた
「あんたも生き残るんだぞ!もまた会えたらお酒でも飲もうぜ!」
そういい男は走り出す
しかしこのまま放っておくのは流石に無理だな
「『我の呼び声に応えたまへ』悪いが空から状況を見てくれ」
俺が呼び出したのは荒鷲だこいつは目がいいし、空からの視察もできる優れものだ
「よし『視覚共有』ッッこれは酷いな」
荒鷲の視界が捉えたものはとても凄惨なものであった
首から下がない者、体を引きちぎられた者あげるとキリがないくらいには死屍累々としていた
こんなことをした犯人は、1歩また1歩とオルターに近づいている
「なんでオーガがここにいるんだ!?」
オーガとはゴブリンやオークなどの種族の上位種であり戦力はゴブリンやオークの数倍にも登るという
しかもオーガがいると周りに魔物を従えるのだそれがまた厄介である
しかもあのオーガは1本角であることだこ
運がないことにあのオーガは変異種であるということ
変異種は種族内でたまに産まれる上位種のさらに上のやばさを誇っている
オーガの場合普段は2対の角を携えているのだが変異種となればその2対の角に変化が起こる、例えば片方が異様に長かったり1本角になったり多種多様だ
「しかし、上位種の変異種ともなればあのくらいの強さも納得だな。」
すると北門近くから悲鳴が聞こえた
嫌な予感がする
そうして俺は走り出した
そこにはあの変異種オーガと一人の少女がいた
「ギャッギャ」
オーガが少女に下卑た視線を向ける
「ヒィィッ」
少女はオーガに怯えきっている
クソクソ!一体どうすりゃいいんだ!?
俺の力は圧倒的にやつに足らないやつに挑みかかってもものの数秒で骸に成り果てるだろう
『力が欲しい?』
頭に無気力な声が響く
お前は誰だ!?
『わたし?名前などは無い、そんなものはとうの昔に捨てた。それで力が欲しい?』
しのごも言ってられっかよ!
「力が欲しい!」
『適合者の欲求を承認、力を譲渡します』
すると俺の体は光に包まれた
『時間が無いから身体借りるね』
謎の声はそういった
「おい!って身体が勝手に!」
俺の体の支配権は得体の知れないやつに取られたようだ
『いいから黙って、詠唱を頭に流し込んだ。それを魔力を込めながら呼んで』
「こうなりゃ一か八かだ!」
俺は魔力を滾らせる
「『我、神の御使い也、我が力は神命を全うするため、我が敵は滅する。我が敵の命はひと時の泡沫、我の力に応えよ!神狼フェンリル』」
これは召喚魔法のようだ、魔力が消えていく感覚が身体を襲う
ダメだ意識を保てない...
く...そ..野郎がここで...死んでたまるかよ!
最後ノアは神々しい光を帯びた狼を目にして意識を手放した
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