四次元探偵

第1話

　人類は急速な発展を遂げた。携帯電話などの電子機器や高層ビルの建設。目まぐるしい発展の中で勉強は必須となりここ日本では就学率が90%を上回った。そんな中突如としてあらわれた人類を試すゲートが現れる。そしてそれは人類の頭脳を試すものだった。人々は挑戦したが、その内容というのが推理だったのだ。ゲートは一部の知識の高い富裕層たちが挑むばかりだったが、世界推理機関によって市民への解放が行われた。それにより従来の単純な勉強ではなく、思考できる人材を育てるスクールが増えていったのだ。そして俺の勉強法は他とはちょっと違う。

なぜだ！ありえない…こんなことは……お前は本当に人間なのか？

「逆算式推論ー感覚とは思考の超越座に位置する」

「トリプルシンキングー型を使い思考を加速せよ」

「本の読み方で世界を変える」

「万民の心理ー心理学とは究極的に脳の構造にある」

「探偵とはどんなに困難な状況でも真実にたどり着くものだ」　

どれも俺が学んだ授業だ。そしてこう言った。

さて、法的処置の時間だ

　中学生の波多瀬守（はたせまもる）は簡単に言うと平凡な学生だ。学校の授業はいつも退屈そうに聞いている。かといって特に部活に入るということもなく、今日も放課後にすることは友達と喋るでも塾に通うでもなく帰宅だった。

「守君、今日は一緒に美味しいものを食べに行こうよ。」

彼の名前は速宮光（はやみやひかる）、いつも守とつるんでいるいわゆる友達だ。そして速宮はなかなか明るい性格の持ち主で、いつも守を誘っては断られている。いつも通りの日常が過ぎていった。帰宅した守はテレビでニュースを見ていた。

「ご覧ください！本日ゲートの攻略に参加した河野時音（かわのときね）さんです。時音さんは大学生の時から頭角を現し、日本一とも名高い頭脳で数々のゲートを攻略してきました。われわれは特別に今回取材することを許可され……」

画面に映る河野という女性は茶髪にボブカットでいかにも賢そうな見た目をしていた。守は冷たい麦茶を飲みながら続けてニュースを眺める。

「われわれ推理ハンターに必要なことは情熱と才能です。わたしはどんな人にもハンターになる素質は眠っていると考えます。そしてわたしはあなた方のご活躍を期待して待っております。」

なんだか鼻につくセリフを語っているのをみて、疑いたくもなったがそこでやめた。疑ったって今後かかわる人間でもないと思えるからだ。そしてそのままスマホを手に取るがそこで異変に気付く。なんだこれ？知らないアプリがインストールされていたのだがこんなアプリは見たことも聞いたこともない。なんだか怪しいので検索エンジンで調べてみるも何もそれらしきものは出てこないではないか。ますます怪しくなってきたので削除することにした。これも失敗した。いったいどうしようか？そこで一つの可能性が思い浮かぶ。これはウイルスというものなのではないか？そして自分のスマホは裏で操作されているのではないか。そして怖くなった守は警察に通報することにしたが、なぜかつながらず、とうとう頭が真っ白になり、どうにでもなれという思いで床に向かって全力でスマホをぶん投げた。だが、スマホが地面に打ち付けられることはなかった。スマホが浮いている！？ほんの一回のまばたきをした後にみたのはスマホがひとりでに守の手元に戻ってくる光景だった。守はスマホのホーム画面に出力された知らないアプリのアイコンをみて今までの恐怖心は不思議と消えていき好奇心が湧いてくる感覚を覚えた。そしてアプリのアイコンをタッチしていた。

　守はアプリのヘルプを開き説明を読んでいた。しばらくアプリを使って分かったことはとにかくポイントが必要だということだ。ポイントをためるにはたくさんゲートを攻略しなければならないが、最初だけ１０００ポイントが支給された。ポイントを使うとここにしかないアイテムを買うことや授業を受けることができるらしい。ショップを開き１０００ポイントで何ができるのかを探す。黄金のリンゴ１０ポイント、さび付いた腕輪１００ポイント、補助AI１００ポイントとあるが、一応最初の大事なポイントだ。慎重に決めることにした。授業に聞けるものはあるのか？見てみたがどうやら一番ポイントの消費が少ないものですら１万ポイントが必要らしい。試しに１０ポイントの黄金のリンゴを食べてみることにした。購入！心の中で少しこっぱずかしいことを唱えながらボタンをタッチすると、スマホからポンッとアプリに表示されていた画像と全く同じ見た目のものが出てきた。この黄金のリンゴの効果は脳を活性化させるとのことだ。早速食べてみることにした。……うまい、シャリシャリとした触感はよく歯になじむ。すぐに全部食べ終わったところで、あきらかに頭がすっきりしているのに気が付いた。すごいな、じゃあこの補助AIとはいったい何だろうか？説明欄には生活を助けてくれるとのことだが、１００ポイントなら購入してみるか？よし、買おう！即座に購入した守の頭にＡIが入る。うわ！？めまいに襲われたことで膝から崩れ降ちる。