走馬灯

走馬灯

　人は死に際に走馬灯というものを見るらしい。実際にそうなのか何度も挑戦してみたけど、いつもそれは未遂に終わってしまっていて、私の手首に記録されていくばかりだった。記録はずっと更新されているけど、上手にできてる試しは何一つなくて難しい。途方もないなぁと思う。

　私は疑問が浮かぶと、好奇心旺盛だから、すぐに試したくなっちゃう。それは私の良いところでもあるし、悪いところでもあるみたい。先生が言ってた。

「歯止めが効かない」

　そう言ったの。だから、それを抑えるために先生と交流してるの。先生と交流していると、さっきまではエネルギッシュだったのがすーっと落ち着いて、なんだか変なの。

　でも、私走馬灯を見れるほどの思い出ないかもしれない。だって、まだ若いよ私。

そう考えると、今これをする必要ないのかも。何か嬉しいことがあるまで待とうかなぁ。

　先生にこのことを話したら「そう考えるのは良いことだね」って言われた。「どうして？」って聞いたら、私に死んでほしくないからだって。ふふ。そっかぁ。

　うれしいことがあったの

　たぶんこれいけるきょういける

　そうまとうみれる

　ごめんねしんでほしくないっていってたのに

　でもそういってくれたことがうれしかったんだ

　みれたらいいなぁ