第二章 手を取り合うも、零れ落ちるも
コハクの彼方
第二章 手を取り合うも、零れ落ちるも
アクア♂ ︰
高2 異世界に連れてこられた少年 正義感が強く元気
ルディ♀︰
高2 サフィの先輩 生徒会副会長 アクアの契約者
メジス♂︰
高1 アネットの弟 サフィファンクラブ会長 西寄りの発音
サフィ♀︰
高1 生徒会役員 隠れファンクラブがあるのを最近知った
マリ♀︰
高3 生徒会長 ルディの先輩であり、友人
(性別は変えても大丈夫です)
本編↓
マリ︰ここは、とある学園である。
ここは、皆が望む楽園である。
ここは、人々の理想郷である。
サフィ︰延ばされた手の行方はどこなのか。
手にした夢は輝くことが出来るのか。
私たちは、世界に踊らされているのかも、
しれない。
マリ:過去に犯した過ちは変えられない。
零れ落ちた希望は…。
サフィ︰今日も始まりの鐘の音が、世界に鳴り響く。
………
アクア「ん〜!今日も授業終わったァ!
一般授業もこの世界あるのかよ〜!
数学とか、俺だって学生なのに、
分から無かったわ。
なんで、あんな記号みたいなの分かるんだよ。
って、いや、それはさすがに良くないか…
まあ、それはそうとして!
おつかれっした!」
ルディ「はは、おつかれなんて言ってさ、
アクアは授業中のほとんど寝てたくせにぃ。
絶対疲れてないでしょ〜それ。
そんなんで、テスト大丈夫?
もうすぐ期末テストだよ。
ちゃんと勉強しなきゃダメだって〜」
アクア「ぅ、うううう、るせ!
勉強なんて、
足して二で割って
赤点になってなかったら良いんだよ!
別に、俺はこの世界の住人でもないし、
使えねぇし、役に立たねぇじゃん」
ルディ「あはは〜足して二で割って
赤点になってなかったら良いとか、
極論すぎぃ。
アクア、大丈夫。
ちゃんと役に立つから。
だから、勉強しよ?」
アクア「いいだろ別に、勉強しなくて。
こんなんじゃ、終焉なんて、変えれねぇよ…(小声)」
ルディ「アクア…
でも、そんなんじゃこれから先の実技大変だよ〜」
アクア「………
まあ、実技は…何とかなるっしょ」
メジス「お、兄貴やん。
久しぶりやな。
元気しとった?
にしても、あくびなんかして。
なんや?
授業サボったん?
悪い兄貴やな。
まあ、おつかれさん」
アクア「お!メジスじゃねぇか。
いやいやいや!サボってねぇし!
ちょっと机に突っ伏して、寝てただけだって!
って、今日はアネットは?」
メジス「寝てるのはサボっとるのと変わらんやん…
姉貴にしろ兄貴にしろ……全く困った人たちやなぁ。
ああ、姉貴な?
別に姉弟(きょうだい)やからって、
姉貴とずっと一緒に居る訳やないで
まあ、心配ちゃ心配やけど…」
アクア「確かに…言われてみればそれもそうか」
ルディ「え!アクアを兄貴呼び〜!?
アクア舎弟でも出来たの?
意外〜!!!
も〜早く言ってよ〜!
そんな事、言われたら私お祝いするのに」
アクア「舎弟!?ちげぇよ!?
……弟みたいな可愛いやつが出来たんだよ。
(メジスの方を向く)
えっと、ルディ、紹介するわァ。
こいつは弟のメジスだ。
(ルディの方を向き直して、一息置いて)
そして、メジス。
こいつは友人のルディだ」
メジス「兄貴おおきに。
存じ上げております。
ルディさん、ですよね。
『生徒会副会長』の」
ルディ「…ふふ、そんな丁寧に言わなくてもいいのに。
それにしても!名前を知られてるとは…
私も有名になったもんだ…
ふんふん(得意気に)」
メジス「いやぁ、有名っすよ。めっちゃ」
ルディ「えぇ!?まじぃ?
冗談のつもりだったのに
ちょっと、恥ずかしい、かも…」
メジス「はい。
だって、生徒会役員って言うたら、
この学園都市の顔じゃぁないですか。
知らない人おりませんって」
アクア「え、ルディ。
お前ってそんなに有名だったのか?」
メジス「むしろ、
兄貴がそれを知らんかったん方が
びっくりやて
学園の壁にも街の壁にも、今年度の生徒会メンバーのポスターも出とるやんか」
アクア「え!そうだったのか…
そういえば確かに……
見たことあるような、ないような……
壁になんかあった気はするが……
ちゃんと見たことなかったぜ」
ルディ「いつも何も考えてなさそうに歩いてるもんねぇ」
アクア「か、考えてるし…!」
メジス「ま、まあ…(引き気味)
仕方ないから、
生徒会役員について、
俺が説明したるわ。
(間)
まず、生徒会役員は、
複数人で構成されててな、
生徒会長の【先読みの聖女】様。
副生徒会長、
こちらにいらっしゃる【世界の創成樹】様、
あとは、【時空の女神】様と…」
マリ︰メジスが生徒会役員を紹介していく。
その話が耳に止まったのか、
ひょこり、と
アクアの背後からサフィが顔を出す。
サフィ「あれ、私の事、呼びました?」
アクア「うぉ!びっくりした!
って、サフィかよ!?
なんだよ!急に背後から
ニョキって出てくんな!?
呼んでねぇよ!?」
ルディ「あ、サフィちゃんじゃん〜、
おつかれさま〜」
サフィ「え!呼んでないんですか〜?
【時空の女神】って聞こえたので、
てっきり私のことかと」
アクア「ほ???」
メジス「………ぇ」
マリ︰サフィと目と目が合う。
思わずメジスは固まった。
アクア「メジス?大丈夫か?」
メジス「………の………ん」
アクア「???」
メジス「ぁ、え……え!?あ!あのっ!
サフィちゃん!?
あの、超ウルトラパーフェクト清楚系
イケメン女子の!
男女ともに憧れの!
学園都市の!高嶺の!花っ!
【時空の女神】様、サフィちゃん!?
一年にして、
難関と言われた、
生徒会役員に就任された!
実力を持つ!
その上!周りからの人望も厚い!
あの!
とても麗しく可憐な…
あなた様が!なんでここに…!?」
(めちゃくちゃ早口で)
アクア「早い上に情報過多だな、おい。
所謂(いわゆる)…これが言葉の暴力か?」
サフィ「あ、あはははは…
あー、私そんな風に言われてるんですね。
(ちょっと引き気味で)
(切り替える)
やだなぁ、ふふ、大袈裟ですよ。
メジスさん?であってますよね。
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
なんちゃって。
私の名前というか、
【時空の女神】という単語が聞こえたので
顔だしてみちゃいました。
巷の噂で、私がそのように呼ばれているのは
知っていましたから」
メジス「え!ァ!っほわっ!
サフィちゃんの耳に!
俺達の間での呼び方が!
入ってるぅ!?
ってえ???
なんで俺の名前知って…」
サフィ「まあ、これでも生徒会役員ですので。
生徒の皆さんの事は
一人一人把握してるつもりです。
えっへん、どやぁ」
メジス「え、可愛い。
ありがとう。
なんか、
今日生きててよかったわ」
アクア「大袈裟だなぁ!?」
ルディ「や〜、さっきから詳しいなって思ってたけど、
もしかして、
メジスくんって生徒会役員オタク…?」
メジス「あっっっったり前やん!!!!!
なんてったって!!!!!
生徒会役員ファンクラブ!!!!!
兼!!!!!!
サフィちゃんファンクラブ会長やからな!!
どやぁ」
アクア「え、そんなんあんの?
ルディ知ってたか?」
ルディ「ん〜、何となく風の噂では聞いてたけど…
本当にあったんだァって思ってるところ」
サフィ「ふふ、面白いですね。
メジスさんって。
それに、反応が楽しくて…
からかいがいのありそうな方ですね。
メジスさん、私たちのこと、
いつも、応援ありがとうございます。
良ければ、これから、仲良くしてくださいね」
メジス「サ、サフィちゃんが!!
お!俺に!!!!
手!!
手を!!!!!?????
さし!!!!だ!し!!!!!?!?
え?!?!?!?!?
えぇっ!!!!!?????!!!!!?????
こ、こ、こ、これは!!!!
ゆ、夢!?!?!?!?
げ、げ、現実ぅぅ!?!?!?!!?」
マリ︰サフィがメジスへと手を差し出した。
その手に感動したのか、
今にも泣きそうな顔でメジスが彼女の手を取る。
その手はかなり震えていた。
メジス「ハ!ハイ!
モチロンデス!
どないしよ…もう…俺…
手洗えへん…
俺決めた。今日はこのまま寝るわ」
アクア「カチコチじゃねぇか…
手は洗えよちゃんと
衛生面的に悪いから」
ルディ「ふふ、アクア、
あなたの弟くんって面白いねぇ」
アクア「お、ぉぅ、なんだろ……
弟の新しい一面を見た気がする………」
ルディ「まあ、いいんじゃない?
かわいくてさ」
アクア「まあ、確かに?」
ルディ「平和だねぇ、
今はまださ」
アクア「ん?なんか言ったか、
ルディ?」
ルディ「ん〜別にぃ〜。なんにもないよぉ〜」
アクア「なんだよ、変なやつ」
ルディ「うるせぇ〜
ばぁか。
ほら、今からすることいっぱいあるんだから、
動いた動いた。
行くよ〜」
アクア「へいへい、行きゃいいんでしょ。
わかったわかった」
ルディ「返事は一回!」
アクア「ハイッ!」(情けなく)
………
アクア︰これは、俺がこの世界に来る少し前の物語。
マリ「サフィちゃん、ちょっと良いかな?
時間くれたら嬉しいのだけれど…」
サフィ「どうしたんですか、マリせんぱい。
マリせんぱいのためなら。
このサフィ、いくらでも時間お開けします。」
マリ「実は、お願いがあるんだよね」
サフィ「せんぱいからのお願いですか…?
せんぱいからお願いなんて珍しいですね。
何かありました?」
サフィ︰悪い予感がした。
予感であって欲しいと願った。
ゆっくりとマリせんぱいが口を開く。
その言葉に私は唖然とした。
大きな衝撃を受けた。
マリ「…なの。
だからね、協力して欲しいの。
こんなこと、
サフィちゃんにしか頼めなくて…」
サフィ︰私の能力は使者召喚。
その名の通り、
異世界から使者を召喚することが出来る。
しかし、それはランダムであり、
偶然であり、神のみぞ知る能力だ。
扱いやすい能力…とは言えないだろう。
その上、一人で使えた試しがない。
サフィ「良いんですか…?
私この能力、
まともに使えたことないですよ?
お役に立てるかどうか……」
マリ「ええ、知ってるわ。
でも、アナタのその力が
今は必要なの」
アクア︰今にも泣きそうなマリの顔。
いつも強く立っている彼女。
マリの強い姿に、
憧れや尊敬をしている人は、
この学園都市に多数いる。
サフィ︰せんぱいが弱々しい姿を見せるなんて。
サフィ「っ…
狡いですよ、せんぱい。
そんなこと言われたら…
首を横に触れないじゃぁないですか……
……(ここで覚悟を決める)
わかりました。
この力、私がせんぱいの為に使いましょう!」
サフィ「私が!
私が、
マリせんぱいの手となり足となります!
任せてください!
私が何とかしてみせましょう!
だから
そんな泣きそうな顔、しないでくださいよ」
アクア︰その日生まれたひとつの約束。
終焉の始まりであり、終わりの合図。
今、世界を救えるのはサフィの能力だけ。
マリ「サフィちゃん」
サフィ「はい、なんでしょうせんぱい」
マリ「雨が、降り出したね」
サフィ「はい…そう、ですね」
マリ「空が泣いてるよ」
To Be Continued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます