第10話 晴れ
俺は春野家のインターホンを押した。
もう夜だし、迷惑がられるのは分かっている。が、桃花が落ち込んでるのは何かモヤっとする。
「はーい」
声の主は桃花の母ちゃんである
「……ってあらー、宗君じゃん!」
「あ、桜花さんじゃないですか!」
しかし小学生の頃と違ってずいぶん顔変わってるのになんで俺が宗太郎だって分かるのか。
「で、うちに何の用?」
「桃花についてですけど……」
「えっ!? 桃花についに彼氏が~!? 桃花ぁー! 彼氏の宗君が来てるよー!」
「ちょっと! 変な茶化し方しないでよママ!」
階段を急いで駆け降りる音が聞こえ、桃花が靴も履かないまま俺の方にやってきた。
「はぁ……はぁ……! で、あたしに何の用事よ」
「まずお前の部屋に入れてくれないか? 玄関先で話したくない」
「……分かったわよ」
「あらあら。二人ともごゆっくり~」
「ママは黙ってて!」
そうして俺は桃花の部屋に入った。
最後に入ったのが小学六年生の頃だったからか、あの頃と比べて部屋の模様や物の配置が変わっている。
「適当に座って」
そう言われたので俺は桃花の白いテーブルの近くの床に座る。
桃花は俺の向かい側に座った。
「で、あたしに用事って何よ?」
「……メアド交換してくれ!!」
「……えっ?」
俺は近所迷惑になることも考慮せずに頭を下げて大声で桃花にお願いした。
「……頭を上げなさいよ」
そういわれて俺は頭を上げる。すると桃花は顔を赤くしながら腕を組んでいた。
「そんな必死に来られたら、断れないじゃない。アンタとメアド交換するのは癪だけど、そんなに必死なら交換してあげる!」
「はぁ……俺はお前のために勇気を振り絞って言ったんだがな……」
「えっ!?」
桃花の顔と耳が一瞬にして真っ赤になった。
普通に考えれば俺に気があるのかと考えるのだろうが、流石にそれは自意識過剰なんじゃないか?
「てことで、メアド交換するぞ」
「わ、わ、分かったわよ……!」
こうして俺たちはメアドを交換した。
これでいつでも桃花のメールをいつでも受けられるってことだよな。全く嬉しくはないが。
『早速メールしたわよ』
桃花から直接メールが来た。
そんなに俺とメールできることが嬉しいのだろうか。
『ああ、受け取った』
俺も返す。
『アンタみたいな生ゴミとメールするのは癪だけど? でもメールしてほしいならいつでも相手してあげるわよ?』
『そんなこと言ってると、お前のメアド削除するぞ』
『……やってみたら?』
桃花が挑発するので、俺は本当にメアドを削除してやった。
「ほら、お前のメアドを削除しt」
「本当に削除する馬鹿が居るかぁぁぁぁぁー!」
俺は桃花にビンタされた。
それで、結局メアドを復活させてこれで俺たちの心のモヤは晴れた。
その後、二人揃って近所迷惑だと桃花の父さんである
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