第2話 初登校
「アンタ、なんで来たのよ!?」
翌日。
早速、俺は夏宮に言われて学校に行き……桃花に詰られている。
桃花は本気で怒っている顔で俺の机を両手で掴んでいる。
「大体、アンタの腑抜けた顔なんて見たくないわよ!」
「……じゃあどっか行ってくれ」
「はぁ? アンタが今すぐ退学すればぁ?」
俺に対して当たりがキツいこの女の名前は
桃花は俺の幼馴染というやつで、俺の家の隣に住んでるので幼稚園児の頃から遊んでいた。
桃花は元々こんなに俺に対して当たりがキツかったわけじゃない。
むしろ俺に対して好意的な態度すら示してたぐらいだ。
彼女が俺に当たりがキツい原因は大方分かってる。けど、だから何だという話だ。
「アンタみたいな生ゴミがこのクラスにいると迷惑なのよ!」
「……仕方ないだろ」
「何が!? とにかく、今から教室を出てって! あたしの視界に入らないで!」
「……はぁ」
「なによそのため息! ため息つきたいのはこっちの方だっつーの!」
周りからのひそひそ声がキツい。
桃花は周りが見えてないのか? 自分の声の大きさに気づいてないのか?
「おい、桃花」
「何よ生ゴミ」
「そろそろホームルームが始まるんだが」
「……あっ! な、生ゴミの癖にそういうところには気づくのね!」
桃花は俺に指摘された途端に顔を真っ赤にして走って自分の席に戻っていった。
全く、こんなに桃花がうるさいとまた不登校になりそうだ。
――休み時間。
俺は頬杖をついて教室全体を見まわす。
久しぶりすぎる登校だからか、この光景にも違和感を感じる。
人がたくさんで、反吐が出るぐらいだ。大衆の雑音もうるさい。
正直放課後まで寝過ごしてしまいたい気分だ。
夏宮が来たときは昼夜逆転してなかったからまだ眠くならないのが腹立たしい。
「あの、大丈夫ですか?」
「……ん、夏宮か」
夏宮が俺の机の目の前に来ている。
黒ニーソとスカートとの間にある絶対領域が目に入るが、かといってそれで何かを思うわけでもない。
「朝は春野さんに酷いことを言われてましたね」
「……あぁ、聞いてたのか。でもアイツがああなのは俺が悪いんだ」
「いえ、どんな理由があれ暴言を吐く方が悪いと思います」
「……それもそうだな」
俺は右腕を枕にして外の景色を見る。
だがすぐに飽きて体を起こす。
「春野さんのせいで不登校になろうと思ったりしないんですか?」
「……まぁ、思わなくはないかな。罵倒されると単純に脳が疲れる」
「ちょっと、いいですか……?」
「……んっ!?」
夏宮が突然俺の頭を自身の胸に押し付けてきた。
な、なんて柔らかい感触……!
って、そんなことが言いたいわけじゃない! というか夏宮は早く俺の頭を自分の胸から離せよ!
……と思ったら、やっと離してくれた。
「春野さんにどれだけ酷いことを言われても、私が慰めてあげますよ」
「……ありがとうな」
なんだか周りの視線と陰口が痛い。
特に桃花からの強い憎悪の視線を感じる。そりゃそうか。
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