異世界歌姫は狂わない

藍無

第1話 転生

「何も感じないー、戻れないけどー、過ぎてしまった、雪の日々__。」

私の名前は、浅黄翠あさぎすい

今は、駅の前で歌っています。

誰一人としてこちらを見ようともしない。

そろそろやめようかな。

時間も時間だし。

私はそう思い、星の輝きはじめた空を見上げる。

お金を入れる投げ銭の箱を見てみるが、たいしてたまっていない。

このままヒット曲もないまま歌って死んでいくんだろうか。

そんなの嫌だ。

帰ったら作曲しなきゃ。

でも生活資金を集めるためにも、バイトは朝早くからしなきゃいけないし、はあ、どうしよう。ヒットする曲が天から降ってこないものか。

そう思い、空を見上げてみながら歩いていると、トラックのブレーキとクラクションの音が聞こえる。

次の瞬間、視界が真っ赤に染まる。

私の意識は、そこで途絶えた。

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