第5話 スキルの効果と制限
俺のスキルにはいくつかの制限と付与するスキルのランク付けが設定されている。
制限と言うのは《スキルギフター》のスキルの恩恵を受けた相手はそれから三十日間、次の《スキルギフター》のスキル効果の対象外となる事。
簡単に言えば、スキルを手に入れてから三十日間は次のスキルが手に入らないって事。
次にスキルのランク付けについてだが、こちらは少しだけ複雑かも知れない。
スキルのランク付けはSからEランクまで存在し、それらのスキルはこの世界のスキルの評価ランクと酷似している。
さらに《スキルギフター》は俺と相手の関係性、肉体的接触によって効果を増減させる。
俺と深い関係性にあり、肉体的接触が濃い場合はSランクのスキル、関係性も肉体的接触も希薄であればEランクのスキルと言った感じと考えると分かりやすいかも知れない。
ちなみにレティア村の女性達にも試してみたが、良くてCランク止まり。
Bランク以上は今まで生きてきた中で一度もない。
残念だが、詳しい条件は自分でも分からないままとなってしまっている。
「……本当に良いのか?」
歓迎会から七日後。
俺は今、他のパーティメンバー達が見ている前で同じくパーティメンバーのアリシア・ローディスハイドと向き合っていた。
「うん、やっちゃって。アリシアもそれで良いよね?」
「はい、私は大丈夫です」
リーフェの指示は二人で抱き合う事。
俺のスキルの説明を聞き、自身の時よりももっと肉体的接触を行えば良いスキルを手に入れられると考えたようだ。
彼女のその読みは当たっている。
軽薄だと思われそうで言わなかったが、レティア村でも村の女性達は、手を繋ぐより抱き合った方が良いスキルを手に入れていた。
ぎゅっ、とアリシアの背中に手を回すと彼女も同じように俺の背中に手を回して来る。
彼女に視線を向けると彼女は目を閉じ、僅かに身体を震わせていた。
だが次の瞬間、彼女がパッと両目を開く。
彼女は小さな唇を開き、そして──。
「あ、新しいスキルが手に入りました!」
その言葉にその場が沸き立つ。
セリナが「やったね!」と俺の背を叩き、リーフェが安堵したような表情を浮かべる。
アンナは興味なさげに料理の仕度をしていた。
「おめでとう、アリシア。それで何のスキルを手に入れたの?」
「はい、私が手に入れたスキルは──」
俺から離れたアリシアはリーフェの方を向き、笑顔で口を開く。
だがしかし、そこで驚くべき事が発生した。
セリナが控えめに手を挙げ、戸惑った様子で彼女の言葉を遮ったのだ。そしてセリナの言葉に一同、驚愕する。
「ごめん、私もスキルを手に入れたっぽい……かも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます