第4話 歓迎会
その日の晩、ホームでは俺の歓迎会が行われた。
とは言っても、参加者は《百花繚乱》のパーティメンバーと先程は所用で不在だったハウスメイドのアンナと言う女性だけ。
食事も普通の夕食である。
アンナは部屋の隅で立って待機しているので参加者なのかどうかは微妙な所ではあるが、一応はそう言う事にしておこう。
あの時に俺を出迎えてくれたのは《賢者》セリナ・ヴォルジア、それと《魔法使い》アリシア・ローディスハイドと言う二人の女の子。
セリナは腰まである長く淡い紫色の髪が特徴の女の子だ。瞳の色は赤、少し大人びた雰囲気をもつ。
アリシアは長い金髪をワンサイドアップにし、瞳の色は翡翠のように緑がかっている。
セリナとは師弟関係にあり、セリナに聞くと素質はかなりの物らしい。
将来が楽しみな逸材である。
更にアリシア本人から聞かされて一番驚いたのだが、アリシアはこの国──ローディスハイド帝国の第一王女らしい。
詳しい事は聞けずじまいだったが、下手に手を出すと人生が終わりかねない。
暫くは関わらずに様子を見た方が良さそうだ。
「えっ、ラグナってレティア村の出身なの!? じゃあ、あの噂って本当!?」
食事中、隣に座るセリナが興奮気味に声を掛けてきた。
食事前の簡単な自己紹介で俺と彼女が同い年だと言う事が判明し、そこから互いに妙な親近感が湧いたようだ。
そこから急激に互いの距離が縮まった気がする。
「あっ、その噂……私も知ってます。レティア村の村人って、全員がユニークスキル持ちなんですよね!」
その話に加わってきたのはアリシアだ。
先程までなかなか話に加われなかったからか、少し嬉しそうな表情を浮かべている。
「まったく、アリシアは本当にお子様なんだから。ラグナ、それで噂は本当!?」
「まぁ、本当だよ。村人は全員、ユニークスキルを持ってる」
「違う、そうじゃなくて!」
「え、じゃあ……何の噂?」
「村人との間に子供が生まれたら、その子供が必ずユニークスキル持ちになるって噂ッ!」
「あぁ、その事か……本当だよ。まぁ、俺と子供を作る場合はその相手にも──って皆、どうかした?」
ふと妙な空気を感じ、ゆっくりと皿のステーキ肉から視線を上げて皆の顔を見てみる。
するとそこには、レッドドラゴンのように顔を真っ赤に染めている皆の顔があった。
あれ、俺……何か変な事でも言った?
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