第2話 帝都
「え、仲間に入れて欲しい……? でも、キミ……戦闘系のスキルを何か持ってるの?」
「いや、スキルは……で、でも剣の腕なら自信があります!」
それから半年。
村を出た俺は帝都にいた。
そこで偶然、依頼から帰って来た冒険者に憧れた俺は冒険者として生きるべく、冒険者ギルドで仲間探しに奔走していた。
「あー、そう言うのは良いから。悪いけど、弱者の面倒を見てるほどウチには余裕が無いんだよね。他をあたってくれないか」
シッ、シッと猫でも追い払うようなポーズをされ、俺は力なく彼らの前から立ち去る。
今のは『月下の剣』と言うギルド最低ランクであるEランクパーティ。
高ランクパーティだと間違いなく相手にされない為、低ランクをメインに声を掛けてみたが、この様だ。
他にもいくつかの低ランクパーティに声を掛けてみたが、どこも結果は同じ。
もはや俺が入るギルドはこの世界に存在しないんじゃないか、そう思う程に心が荒み始めていた。
「くそ……俺が入れるパーティ、何処にあるんだよ」
これでギルドに所属する全ての低ランクパーティに声を掛けた。
高ランクパーティに声を掛ける気にも慣れず、意気消沈しながらギルドを後にしようとした次の瞬間。
入り口で俺は白銀の軽装鎧を纏った女剣士とぶつかり、その場に尻もちをついた。
「君、大丈夫?」
「剣姫、リーフェ・イシュタール……」
肩に掛かるくらいの灰色の髪、西洋人形のように美しい碧眼。肌はきめ細かく、綺麗と言うよりは可愛らしい感じ。
「ほら、立てる?」
彼女の差し出して来た手を掴み、立ち上がって彼女に会釈した俺は彼女の横の通り、ギルドを後に──する前に彼女に強い力で腕を掴まれる。
「キ、キミ! ちょっと私と一緒に来てッ!」
そのまま彼女に連れて行かれたのは、大きな一軒家だった。
「ここは……」
「ここは私達のギルドホームだよ。さぁ、入って! まずは皆にキミを紹介するねっ!」
「紹介……えっ、何の話……?」
剣姫はパーティを組まずにソロだった筈だ、何で俺は彼女の拠点であるギルドホームに連れて来られた、とか。
そんな考えが頭の中を目まぐるしく飛び回る。
頭で理解が追い付かないまま、彼女に手を引かれて家の中へと入る。
ただいま、と彼女の口から声が発せられる。その声に部屋の奥から二人の少女が顔を見せ、彼女を「おかえり」と笑顔で出迎える。
「リーフェが誰かを連れて来るなんて珍しいね、しかも男の人。その人、お客さん?」
「うん、お客さん……かな、今はまだ。それよりお茶の間用意をお願い、二人に話があるんだ」
「わかった、テラスに持って行けば良い?」
「うん、お願い。じゃあ、私達は先に行ってようか? えっと、そう言えば君の名前を聞いてなかったよね。まずは互いに自己紹介から始めよっか」
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