禁賀深年
みやこ
來年も ょ3しくお願ィ悼しほす
何かを振り切るように道を急ぐアクセルの音
窓から這入る
「非常口の明かりに集まってるようで……
つまりもう逃げ道はないです」
十月の二十九日は外に出ちゃいけないよと祖母のいいつけ
神様が我が家に来るときはどちらでもない音が鳴りますよ
捧げ物を
特売のひき肉にしてもバレなかったので
首吊ったらしい
ルールを守ってさえいればきっと助かる
そのはずだった
一月はひっくり返ると霊の言う
ヒト・霊・カミと あれらの数が
「この一家は年を越せませんでした」
空き地の写真にはそのように
それは雪だるま祭りに紛れ込む
雪ではないのでバレバレだが
一家全員が布団に潜り、一日中寝ていること。起きぬこと。
「悼んではいけない」シリーズを笑いながら見るのが年末の楽しみ
小論文の添削指導に持ちこまれた
「です」「である」混ざる遺書
「進学したいです、県外に」と言う彼に
入りたがってるカミサマ
クマ出没注意のクの前に何か
書かれていた痕跡 「ア」とかが
鶏肉よりもっと注目するものが
冷え切っている部屋の、窓に
「紅白見てるんだと思うけど
歌でしょこれ、違う? 悲鳴? んなわけ」
共テ小説の過去問に何故だろう
紛れ込んでたあの子の卒業文集
熱帯へ辿り着けずに凍りつく屍はありのままの姿で
除夜の鐘が終わる頃には私たち
いないんだよね変な気分だ
年賀状なんだと思う
満面の笑顔で写ってるし、家族写真
禁賀深年 みやこ @miyage
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