第3話

「口が臭えな!」


5歳児のA君が私に言った。臭いという言葉は、なかなか破壊力がある。なんて嫌な子なんだろうと思った。そういえばこの前、私より若くて綺麗な先生に「クソババア」と悪態をついていたっけ。


しばらく後、同じ組のB君が私に「先生、お口がちょっと臭うみたいよ…ちゃんと歯みがきしないとむし歯になるからね」と言った。やっぱり口が臭いのだ!


歯周病のけはあると自覚していたが、歯医者に行かなかった。それより何より、何でA君の言葉に嫌悪感を持ち、無視していたのだろう。彼は事実を指摘していたのに…


同じ事を言っても受け入れられる場合と拒否される場合がある。言い方とかタイミングとか人の好き嫌いなどで。


ごめんねA君、先生バイアスかかってた。これからは君の言う事をしっかり聞くからね。

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