お勉強

何も知らない

ルールも何も知らないままBリーグの試合を見に行く葵結あむ。せっかく見に行くのなら動画サイトで見ておけばよかったかな。そう嘆いていた。


ママに伝えると全く知らない人でも楽しめるのがスポーツ。オリンピックとか見ててもそういう競技があるよ。


ツインテールに水色のワンピースを着て家を出ると瑠那るなちゃんのママが家の前で待っていてくれてそのまま車で同行する。


車内では葵結あむ瑠那るなちゃんがいつものように楽しくお喋りをしている。

葵結あむちゃんのワンピースかわいいね。そう?瑠那るなちゃんの穿いている黄緑のミニスカート、かわいいけどどこで買ったの?葵結あむも欲しい」


そんな会話をしているうちに会場に着いて席に座る。周りを見渡すと選手のグッズやボードを持って応援しようとする人が沢山いる。


そして試合が始まった。

見ていると互いのゴールにシュートを打ち合ってそれを繰り返すのだなと何となく分かった葵結あむ


遠いところからシュートを完璧に決める選手、シュートを打つと見せかけて味方にパスをする選手、敵に取られそうなのを察知して誰もいない所にパスをしたと思ったらそこに味方がはしってくる。エスパーなのかと疑いたくなる。


何も分からないなりに試合を見て楽しむ葵結あむ。知らぬ間にバスケットボールの虜になっていた。そして試合の終わりを告げるブザーが鳴り、選手の放ったボールがゴールに吸い込まれて逆転勝ちを収めた。


他の誰よりも早く立ち上がって拍手をする葵結あむ。人生で初めてこんなに感動したかもしれない。また見に行きたいと瑠那るなちゃんに伝える。


お昼を回り、試合会場に近いファミレスに入った。ママも昔、バスケットボールをやっていたからなのか娘の葵結あむをそっちのけで応援していた。


全員がタブレットで注文を終えると元バスケットボール部のママに改めてこの試合で起きたことを解説してほしいと頼む。


「まず、1番遠い円のところからボールを打って決めるのが3ポイントシュート、それよりも内側でシュートすると2ポイント、ファールでもらったフリースローで決めると1ポイント。

シュートを打つと見せかけて味方にパス、誰もいない所にパスを出して相手をあざむくフェイントとかがあるかな」


どれがどのシーンなのか、全くピンとこない葵結あむ。動画を見せて教えて欲しいと再度ママにお願いをする。


この円から打てば3ポイント、これより内側が2ポイント、相手がぶつかってきてファールになって決めたら1ポイントって感じだよ。テレビや観戦したら分かるようになるよと教えてくれた。


すると瑠那るながこう尋ねた。

葵結あむちゃんママに聞きたいんですが、最後 ブザーが鳴ったのにシュートして点が入ったけどあれはなんて言うの?」


「ブザービートのことかな?バスケットボールは最後鳴ってもシュートを放てばそのボールは生きているから入れば得点になるよ。だから入らないと分かっていても最後シュートを打つのは定番かな」


この時、葵結あむ瑠那るなちゃんはそのブザービートという響に深く感銘を受けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る