驚き

多様化

葵結あむが新しく開校した常総じょうそう小学校に入学して驚いたことがある。それはランドセルにタブレットを入れるところがある。そして体育ではダンスが必修となり、プログラミングの授業も行われるとテレビで報じられていた。


パパとママの時代にはタブレットで授業をしたり、プログラミングをするなんて考えられず鉛筆とノートで板書を取って教科書を持ち運びするのが当然だったが、今の子達はタブレットや教科書が分厚くなって重たくなって、学校に置いていく置いていくことも推奨されている。


終業式前に段階的に教室に置いてある教科書を家に持って帰ってきた。試しに全ての教科書にタブレットを入れたらどれくらいの重さになるのか、パパが背負ってみた。


するとパパは驚いた。

「何だこの重さは。これは重すぎるし、テレビで教科書を置いていくのを推奨するのも分かる。これを毎日持ち運びするのは大変だし、何よりも姿勢が悪くなる」


パパやママの時代と今の違い、何だか他にもありそうだなと感じて思いつくだけ話をする。

「運動部は理不尽は当たり前。パパはソフトボール部に入って足が痛いから休みたいと言えば、辞めろと3日目で言われた」


「ママもバスケットボール部で先輩がミスをしたのに後輩まで連帯責任を取らされたり、他の部活だと後輩が喋ってて顧問がキレて練習が途中で終わって謝りに言ったとか……」


葵結あむのパパとママは学生時代を平成で過ごした。今ではパワハラと言われてもおかしくないくらいの体罰も当たり前のように横行していたと聞いて震え上がる。


その経験をしているパパとママだからこそこのように告げられる。

「教室でも学校の外でも何かあったらスグに言ってね。心配をかけないようにと顔を伺う気持ちも分かるけど、何かあってからだと遅いもんで」と念入りに言っていた。


パパの中でもう1つ気がかりなものがあった。

それは働き方改革であり、それまでは残業が美徳で誰が出世するのか同期や社内で競っていたが今はその陰りもない。


終身雇用が当たり前の時代から転職するのが当然の時代に代わり、あらゆるハラスメントが問題になって社会問題になっている。その背景もあってからなのか心療内科や精神科の病院が前よりも増えてきたように感じる。


葵結あむ実紅みくのところに行っている間、パパとママは改めて自分たちも被害者にもなり得るし加害者にもなり得るから気をつけようと話をしていた。


オレらの時代はよかった、自分たちの時代はこんなものじゃなかったと言う人たちがよくいるが、そういう人は社会から淘汰とうたされてはばかられる。


そういう人の意識を変えないとハラスメントはなくなっていかないだろうとパパとママはひしひしと感じていた。

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