突然の訪問者、サモエドさん

行方不明

どこ行ったのか

よく食べてよく寝て、よく遊ぶサモエドの実紅（みく）。やっと健康診断で適正体重に乗ってスクスク成長していることが分かる。

散歩がてら動物病院で毎年の健康診断をうける。健康診断で逃げる子や拒絶する子がいる中で笑顔で嫌な顔をせず、逃げることもせず大人しくしていて偉い子だなとパパとママと眺めていた葵結（あむ）。

巷（ちまた）ではサモエドの笑顔はサモエドスマイルとして言われるくらい人気の犬種で、最近では全国各地にサモエドカフェが続々とオープンするくらい人気が高まっていると検査が終わって動物病院の先生から告げられた。

いつも見慣れている実紅（みく）の笑顔を見て家族でさえ毎日癒されているのだからこのサモエドスマイルを楽しみに来る人がいて、人気が出るのも伺える。

家に帰ってきてリビングに入ると大きくなってきた実紅（みく）には思いの外（ほか）、手狭ではないかと感じていた。実紅（みく）が喋って家の中だと狭いから外に行かせてくれ。と言ってくれればいいが、家族ではあるものの犬に喋れと言うのは無理な話である。

パパは実紅（みく）と共に外に出て、犬小屋を作るためにメジャーで測ってスマホにメモをする。ちょうどのサイズにするとゆとりがない為に少し大きめに作った方がいいかなと呟く。

葵結（あむ）はパパと共にホームセンターへ向かって必要な材料を買いに行き、家に帰る前に実紅（みく）が犬小屋の中でも飽きないようにと新しい玩具とドッグフードを買って帰った。

家でママと実紅（みく）が待っていると足早で帰ってきて早速、パパと共に犬小屋作りを手伝う葵結（あむ）。せっかくなら犬小屋に装飾を付けてかわいくしようと考えながら作業をしていた。

数時間後、犬小屋が完成して実紅（みく）の首に付けたハーネスを外して新しい家だよと促した。いつもなら何事もなく入ってくれるのかと思っていたらなのか外へ逃げ出してしまった。

パパとママ、葵結（あむ）の3人で追いかけたが全然見当たらない。手分けして探すもののいる気配がなく、家に戻って車に乗り込んで近くの公園の辺りや行きそうなところを探すが全然見当たらない。

とりあえずママがスマホで警察に電話をして犬のサモエドが逃げたから捜索して欲しいと連絡を入れ、車で実紅（みく）を探し続ける。

サモエドは大きい犬種だからスグに見つかろうと思っていたが中々見つからず、地元の常総市（じょうそうし）内は探し尽くして落胆している。

どこに行ったのかと車内で話しているとママのスマホが鳴り、警察からの電話で隣の野田市（のだし）まで来ていた。

警察に保護されてサモエドの実紅（みく）は引き渡され、顔を見ると申し訳なさそうにしょんぼりして今にも泣きそうになっていた。

そのうるうるとした目を見ると怒ることは出来ずにパパとママ、葵結（あむ）それぞれ頭を撫でてギュッと抱きしめてトランクに実紅（みく）を乗せて家に帰っていった。