第14話:開発者たち

 ワルキューレは覚醒すると特殊なオーラを放つようになる。

 目視はできないが、開発者たちが持つ探知器はオーラの発生場所を特定することができた。


「自然保護区にワルキューレがいる?」

「個体識別できないぞ」


 王家に仕えるワルキューレは覚醒するとオーラの波長を登録されるので、探知機で識別することができる。

 しかし美羽は開発データ上は未覚醒で廃棄済になっており、登録はされていない。


 美羽を逃した兵士たちは、処罰を恐れて脱走されたことを黙っていた。

 開発者たちは、皇帝に廃棄を命じられた白鳥が処分場で片付けられたものと思っている。

 風人への想いによって覚醒した美羽のオーラは、開発者たちに居場所を報せることになってしまった。


「1341番を処分場へ運んだ兵士たちを呼んでくれ」


 開発リーダーの指示で、兵士たちが研究室に呼ばれた。

 呼ばれた時点で兵士たちは落ち着きなくビクビクしており、隠し事をしているのがバレバレだ。


「他には漏らさないから答えてほしい。1341番は生存しているのか?」

「……はい」

「居場所は把握しているのか?」

「いいえ。森林保護官の目撃情報のみです」


 そこまで聞いた時点で、開発者たちは白鳥を保護している者を特定した。

 探知MAPに表示された未登録オーラは、森林保護官の管理小屋付近から出ているのだから。

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