第5話 半・半妖

「とにかく君は、家系的に血肉が妖怪なんだ。だから無詠唱で妖術を使用できる。つまりは…"霊媒者協会"に入って、霊媒の仕事を手伝ってほしい。」


「はっ、はぁ!?俺15歳だしまだまだこれからなのに…!!」


俺は焦って声を荒げた。そりゃそうだ。昔から教育されて見た目以上に体付きが良く体術・格闘術ができるからって...おかしい話だ。

実際考えてみたって、あんなと戦いたくない。


「大丈夫だ。君が力を発現して、使いこなせるようこちらで教育するし、ちゃんと普通の勉強もさせる...。だから…頼む。」


見た目に合わない深い声で頼み込んでくる神楽、それを不安そうな目で見つめるダルマ。俺は決心できずにいたが、少し勇気を出して口を開く。


「簡単に言うけどさ…俺は、無いんだよ。勇気が。だから…無理!だけど…、」


「っ!…」


もごもご喋る俺に神楽達は少し目を見開いて瞳を輝かせる。


「無理だけど!、少しでも…人を救いたい。俺が人間であって人間でないなら、この力を少しでも利用できるようにするさ!!!!だって、、、そうじゃなきゃ!そうじゃなきゃ!…"


俺は初めて全力で泣いた。

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