(2)共同研究
翌日、俺とアルマはグラヴァンス教員の研究室に向かった。どうやら、あの赤黒い鉱石は無事に学院に運び込まれたらしい。さすが北国の技術、やることが早い。
研究室に足を踏み入れると、目に飛び込んできたのはキラキラした鉱石だらけの光景。棚や机の上に並ぶ色とりどりの石に、思わず目が奪われた。
「こんなにも多くの鉱石が…!」
アルマが感動して声を上げる。その横で俺は内心呟く。
――まったく、女ってのはどうしてこうも光るもんに弱いんだ。
「おっ、来た来た!」
明るい声が聞こえたと思ったら、カティアが資料を漁りながらこっちに手を振っている。ニヤっと笑うその顔が妙に楽しそうだ。
「すごいでしょー!あたしも発掘手伝ったんだよ、ね、先生!」
自慢げに胸を張るカティアに、俺は苦笑いしつつ本題に切り込む。
「あの赤黒い鉱石、結局何だったんですかね?」
気になりすぎて、昨日はろくに寝られなかったんだよ。
「それについて話そうと思っていたんだ」
グラヴァンス教員が静かに頷き、説明を始めた。
「君たちが見つけた赤黒い鉱石だが、発見場所は学院の採掘区内だった。ただし、発見のきっかけになったのは君の一撃だ。そこで提案だが、この鉱石を共同研究という形で扱いたい」
「共同研究?」
「そうだ。未知の存在である以上、一つの組織で抱え込むべきではない。魔法学院と魔術学院で協力し、成果を共有する形が理想だ」
俺は少し考え込んだあと答えた。
「俺は石には興味ねえ。ただ、学院同士でやるなら異論はねえよ」
「それで構わないよ。デュフォンマル様もそれでよろしいか?」
グラヴァンス教員がアルマに確認する。
「もちろんです!北国の鉱石について学べるなんて、願ったり叶ったりです!」
アルマが笑顔で頷いた瞬間、カティアが割り込んできた。
「じゃあ、あたしの名前も歴史に刻まれるってこと!?やっぱりカティアストーンで決まりかな!」
「まあ、その可能性もあるかもしれないね」
グラヴァンス教員がクスリと笑う。
「さて、君たちが来るまでにカティア君と調べたことがある。それを整理し、報告しよう。これが共同研究の始まりだ」
研究室の空気が少し引き締まる。俺は腕を組みながら考えた。
――結局、この鉱石は何なんだ?
何かが動き出す、そんな予感が胸をざわつかせる。
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