転生したのはダークエルフの女子更衣室だった~善良な詐欺師をしていた俺は神のいたずらで異世界に転移した~
田中又雄
第1話 詐欺師、異世界へ転移する
『お前...騙したな!』
電話越しに俺にキレてくる三下詐欺師。
こいつのした詐欺はいわゆるオレオレ詐欺というやつだ。
お年寄りを対象にしたゲスい詐欺だ。
とある情報筋からその被害が多発していることを知り、俺はそいつをつり出すためにある詐欺を行った。
それは仮想通貨詐欺だ。
よくある詐欺の一つだが、俺はダークウェブと呼ばれる通常の検索エンジンでは引っかからないサイトを自作し、そのサイトで使える仮想通貨を作った。
そして、信用させるためにいくつかの違法商品、銃や偽造免許証などをまさに仮想の通貨でやり取りさせ、信用させたうえで、とある日本人の女性を大金払って買ったタイミングで、とんずらをこいたということだ。
大金が手に入り浮足立ったバカほど騙しやすいやつもいない。
まぁ、よくある詐欺ではあるが、問題はこの先だった。
俺はその支払い方法からやつの個人情報を盗み取り、その支払い方法以外からもこいつが保有するクレジットカードやデビットカード、仮想通貨に電子マネーに至るすべての情報を使って、こいつを嵌めたのだ。
そのせいで、こいつは文字通りのすっからかん。
きっと、今かけているこの携帯電話さえ、そう長くはもたないだろう。
じゃあ、なぜそんなやつからの電話に出たかって?
それは決まっているだろう。
「あのさぁ...お前、詐欺師が騙されてキレるって...バカすぎないか?w詐欺師をやるならもう少し賢くならないと。てことで、この金は被害者達に9割に戻すとするよ。それと、あんたの名前と住所、これまでの罪のすべてを警察にチクっておくから、覚悟しておけよ。佐藤陸くん」
そのまま通話終了ボタンを押す。
そして、後日。
俺は宅配業者に変装し、騙された老夫婦の家に荷物を持って訪れる。
ピーンポーン
「...はい」
元気なさそうなお爺さんがヨタヨタと歩きながらやってくる。
「すみませーん、お届け物で~す」
「...届け物...」
差出人には息子さんの名前を使った。
そのまま、名前をもらい、俺はそのまま荷物を渡して家を後にした。
後のことは知らない。
きっと、中身を見てあの金が返ってきたことは何となく察しただろう。
感謝するかもしれないが、その感謝が俺の耳に入ることはない。
まぁ、別に1割はもらっているわけだし、必要経費もあるとはいえ、俺も詐欺師だ。
感謝される謂れはない。
むしろ、俺が詐欺師たちに感謝しているくらいだ。
そうして、俺は今までも何件もの詐欺喰いをしてきたわけだが...。
◇
いつも通り、詐欺軍団が保有している金庫に忍び込み、大金を盗み取ろうとしていた。
慣れた手つきで金庫を開くと、そこにはお金とともに変なステッキが入っていた。
なんだこれ?子供のおもちゃか?
そう思っていると、次の瞬間、事務所に電気が光る。
「誰だぁ!?」という声とともに男たちが入ってくる。
もしかして、俺は嵌められたのか!?
そう思った瞬間、思わず俺はそのステッキを強く握った。
すると、ボタンのようなものを押してしまい、煌びやかに光り輝き始めるのだった。
◇
目を覚ますと、真っ白な世界が広がっていた。
「...ここは...」
「おっ、ようやく起きたかの」と、白髭のお爺さんが、コーヒー的な何かを飲みながら俺にそう言った。
「...あんた、誰?」
「誰...という質問か。それはまぁ、難しい質問じゃのぉ。神と言えばそうだし、違うと言えば違うのー」
どういうことだ?
そう思っているとあっさりと説明が始まる。
どうやら、この人は神というより神の使い的な感じらしい。
こうして、死んだ人間や紛れた人間を導くために存在しているとかなんとか...。
「...つまり、俺は死んだってことですか?」
「それは違う。君は死んだんじゃない。転移したのさ。君が最後に握ったあのステッキは異世界へ転生するためのアイテムなのじゃ。ということで、君には二つの選択肢がある。このまま異世界へ行くか、もしくは死後の世界に行くか」
そんな二択は二択にすらなっていなかった。
「そんなの決まってますよ。異世界へ行きます」
「よかろう。では、異世界へ行くことを許可しよう」
◇異世界転移
「...」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093090949899662
そこに居たのは、褐色の肌をしたダークエルフの女の子。
そして、どうやら転移したのは学校の...更衣室のような場所だった。
転生したのはダークエルフの女子更衣室だった~善良な詐欺師をしていた俺は神のいたずらで異世界に転移した~ 田中又雄 @tanakamatao01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生したのはダークエルフの女子更衣室だった~善良な詐欺師をしていた俺は神のいたずらで異世界に転移した~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。