第2話

ブスですから、わたしは、何かしなくちゃいけません。作戦を考えました。頭脳も体力も平凡なわたしですが、とにかく考えました。


まず、容姿の底上げです。学校はメイク禁止でしたが、わたしは、毎日とことん作り込んで行きました。誰にも文句を言われませんでした。ブスだからです。足の悪い生徒が車椅子に乗るのに、それを妨げる教師はありません。


それから、努めて明るく振舞いました。性格のよさにかけては、同級に比類ない存在を目指しました。笑顔。鏡の前で練習しました。自分の顔を目にすると暗い気持ちになりましたが、それでも笑顔を研究しました。おかげで、わたしの笑顔は誰より強靭だったはずです。


小さなことでも「ありがとう」と口に出して言うようにしました。相手の目を見て話しました。他人の悪口は決して口にしませんでした。


部活動はしませんでした。部活動は、何より分かりやすいパーソナリティとなるものですが、わたしにはもっと強烈な個性が必要だと思いました。そこで、わたしは華道を始めました。ブスが華道! クラスのほんの数人の女子がそのことを知っていました。母はわたしに結構な趣味がついたと思って喜びました。


母……。かわいそうな母。一人娘がブスだった母。これだけは、どうしても胸が締め付けられてしまう後ろ向きです。


さて、岡田は、どんな人物であったか。彼は未熟な男でした。

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ブスの夢 古成おこな @furunari

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