ブスの夢

古成おこな

第1話

すっっっっっっっっっっっっっっっっっごいブスなので、わたし生まれつき、それなりの苦い経験というものがあります。


思うに、容姿というのは《絶対的な価値》なのです。頭のよさとか、運動センスとか、そういうものと同じ。これは人間の絶対不変な価値です。生来優れているやつと劣っているやつがいて、そのギャップは埋まらない、なくならない、ひっくり返らない。必ず。ブスはブスなのです。


この価値は、たとえば人間が、単体無性生殖で増えて進化できるようになったりでもしない限り、決して変わらないのです。


だからって、すべてを諦めているわけじゃない。ほかの価値や努力で補って、みんなに認められたりすることはできる。優れているやつが怠けるから、劣っているやつにもチャンスがある。結構なのです、意外とこの世界は。


恋をしました。高校一年生の春、同級生の男の子。名前を岡田といいました。


岡田は美人でした。性格も明るくて人気でした。腰なんか薄っぺらくて華奢なのに、喉ぼとけとか関節の形に男らしさがありました。


この男を必ずわたしのものにする。そう決意しました。


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