「雪」のように消える
千瑛路音
「雪」のように消える
高校の頃、修学旅行で雪が降り、スキーをすることになった。
ゲレンデはすべて真っ白で思った以上に雪は積もっていた。氷になってくると地面がつるつるすべったのを覚えている。
スキーの方はインストラクターの方が付き、何人かで同時に練習をする。女性の方で、やはりスキーの格好はかっこよく見えた。
しばらく、練習に明け暮れる。スキー板を八の字にし、スルスルと滑っていくのだ。簡単だ。周りの生徒は一人また一人と滑れるようになっていき、個々で遊ぶようになっていく。
結局、最後に残ったのは自分一人であった。どうしてうまく滑れない。何度もインストラクターの人に聞く。そして、もう一度ハの字に挑戦。やはりだめだった。何かバランスが悪いようで、スルスルステンコロリンと尻餅をつく。
地面は大分固くなっていて、ややお尻がいたくようやっと立ち上がって何が悪かったのかインストラクターの人に確認しようとすると其処には誰もいなかった。
不思議に思い、周りを見渡すと、遠くにインストラクターの背中が見えた。どうやら時間の様であった。それから、練習することもなくスキーの時間が終わるまで一人でぼーっと休んでいた。 終わり
「雪」のように消える 千瑛路音 @cheroone
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