第4話:御堂舞香はお風呂ちう
その日の夜。
今日も母親からしつこく勉強しなさいよ! と言われ、机に向かっていると御堂舞香からライソにメッセージが届いた。
『せっかくライソ交換したんだからスタンプの一つでも送ってくれてもいいのに』
ぷんぷん💢 というスタンプも追加された。
『ごめん。学校関係で交換したの御堂が初めてでどのくらいの頻度で送っていいか分からなかったから。
人によってはメッセージが多いとめんどくさいと思うかもだし、もし御堂もそうだったら悪いから』
すぐメッセージを返すと一瞬で既読がつく。
『多くても大丈夫だよ。
家のことをしてる時とか、弟の面倒を見てる時とか、すぐに返せない時もあるけれど、棟田だったら基本的にいつ送ってもらってもいいからね』
御堂はそう返してくれたが、相手はクラスメイトの女子で、僕とは別世界の住人のあの御堂舞香なのだ。どんな話題でどんなメッセージを送っていいのか見当もつかない。
『分かった。ありがとう』
とだけ返す。
『棟田は今はなにしてるの?
学校でゲームしてたってことは勉強?
もしかして、今日もお母さんに言われた?』
(暇なのかな? レスがめちゃくちゃ早い)
『そ。よく覚えてたね。適当に聞き流してしまっても良さそうなことなのに』
『聞き流すなんて失礼なことしないってば』
『そうなのか、ありがとう。
僕は大したことを言っているわけでもないし、とりたてて僕に興味もないだろうから、聞き流してくれてもいいんだけど』
送ってしまってから、ちょっと冷たい言い回しだったかな? と瞬時に反省したがもう既読がついてしまっているから消せない。
『そうなのかな?
大したことあるかないかはうちが感じることであって、興味がなかったらこうして話してなくない?
それとも棟田はうちの話に興味もないのに仕方なく付き合わせちゃってる感じ?』
ヤバい、そんなつもりは全くなかった。
これはフォローしておかないと。
『ごめん。そんなつもりで書いたわけじゃなかった。ホントごめん。
普段クラスで浮いてるぼっちな僕だし、話題もつまらないかもしれないからという意味だった。御堂のことは興味あるよ』
(慌てて訂正したけどこれでは苦しいか?)
『うちのこと?』
『あ、御堂のしてくれる話ってことね。ごめん、急いで打ったから打ち間違えた』
御堂のことと送ってしまってたみたいだ。変に誤解されてキモがらせては非常にマズい。僕は慌てて訂正しておく。
『おっけおっけ。
棟田って、すぐ謝るんだね。
もしかして謝るのは癖?』
『そうかもしれない』
『なんかウケる。
あ、棟田の勉強の邪魔になってない?
大丈夫かな?』
こうやって、さりげなく気を使ってくれる処も御堂のコミュニケーション能力の高さが伺える。
『ご飯を食べてならさっきまで、ずっと根をつめてやってたから、ちょうど休憩したかったしありがたいよ。御堂こそ話してて大丈夫なの?』
『うちはいまお風呂ちうだから大丈夫』
(え? お風呂? てことは…、生まれたままの姿? あのグラマラスな胸が露わになって、シミひとつない綺麗なおみ足どころかその上の…)
無意識にゴクリと唾を飲み込む。
『おーい!
棟田〜?
勉強再開しちゃったかな?』
『あ、ごめん! まだ再開してないよ』
通知音に気がついて我に返り、慌ててメッセージを返す。
『もしかしてうちの裸を想像させちゃった? 棟田も普通に男子高校生なんだね?
もしかしたら、ムッツリすけべなのかな?』
『僕も男だから、えっちな事に興味がないと言ったら嘘になるし多分普通にえっちだけど、ムッツリすけべなんかじゃない!』
『想像しちゃったことは否定しないんだ?』
『も〜、からかわないでよ』
『そこはごめんじゃないんだね』
こうして昨日までは全く思いもしていなかった御堂舞香との楽しいヤリトリで夜は更けていった。
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