第3話:御堂舞香とSNS交換

お股が超絶緩いと言われているトリプルびっちの一人である御堂舞香が、実は処女?


衝撃の事実に気が動転して、ひっくり返りそうになる僕。あまりにも衝撃の告白に驚きを隠せない。


「御堂さんたちって、いつも合コンしていて男を取っかえ引っ変えして、色々と楽しんでるんじゃ?」


「麗羅と彩音はね? 今日も合コンで知り合った大学生とラブホ行くみたいだったよね。

うちはあの子たちの付き合いで合コンには行くことは行くけど、その先は一度もしたことないよ? 棟田は信じられないかもだけど」


「マジか…。それなのに、周りに変な誤解をされてて嫌じゃないの?」


自分だったなら、一括りに一緒にされるのは嫌だと思うだろう。


「本音を言えば嫌は嫌だけど、人は自分の都合の良いように想像して、勝手に解釈して、決め込んでものを言うでしょ? うちが必死になってどう否定しようが、どうせ聞く耳は持たれないだろうし、疑いはずっと晴れないよ」


「とはいえ、それってかなりキツくないか」


「いいのいいの。うちは分かってくれる人にだけ分かってもらえてれば。現に棟田は誤解だったって分かってくれたんでしょ?」


確かにそうかもしれない。

今日初めて話して分かったけれど、御堂舞香は誰彼構わず節操なく男漁りをして遊んでいるような尻軽な女子ではないっぽい。


「そうだね。僕には御堂が嘘を言っているようには思えなかった。ごめん、噂を真に受けてて」


「謝らなくていいよ? 仕方ないじゃん? それがマジョリティ。普通は長いものに巻かれてる方が楽じゃん?」


御堂はそう言ってくれたけれど、疑いもなく噂を鵜呑みにしてしまったことを反省した。


「でも一つ疑問がある。どうして今日は僕に声を掛けて、あまつさえ誰にも言ってないことを打ち明けたんだ?」


「なんでだろね? たまたま? 勘かな? 棟田はどこか他の人とは違うかなって」


「なんだよそれ、全く根拠のかけらもない。僕がヤな奴で御堂の言うことを信じなかったかもだし、口が軽くて明日になったら言いふらされてるかもじゃんか」


実際のところは御堂のことは尻軽な女ではないということを僕は信じたし、誰にも言いふらすつもりもないけれど、一応聞いてみる。


「ん〜…、なんとなくだよ。少し話しただけだけど棟田はそんなヤツじゃないって信じただけ。万が一に棟田がそんなヤツだったとしても、打ち明けたのはうちからだし、うちの見る目が無かったってことだよ」


「そっか、なんかありがとう。そう言ってもらえて嬉しいかも。御堂こそ信じないかもだけど、もちろん僕は絶対に誰にも言わないよ」


「信じてなかったら、こんなこと打ち明けないってば。ね、棟田。連絡先交換しない? こういう今日みたいな本音の話とか愚痴とか言える相手がうちには居なくてさ?

もし棟田が良かったらだけど…」


流石にこれは驚いた。現状、僕のスマホには学校の誰の連絡先も入っていない。


「…分かった。イマスタ? ライソ?」


「どっちでもいい。棟田は普段どっちを使ってるの?」


「オンラインゲーム関係はティスコで、家族やバイト先がライソ。イマスタは見る専」


「じゃあライソにしよっか。一応イマスタも繋がっとく?」


どうしようか? 僕は少し思案したが


「ライソだけでいいかな。イマスタで繋がっちゃうと梅田たちにも知られちゃうかもしれないだろうし。なんで僕と繋がってるのか聞かれるの嫌なんじゃない?」


「ん〜、別に嫌というわけでは無いけど…。そうだね。棟田にイマスタ教える時は、別のアカウントを作ってからにするよ。とりまライソは交換しよ? クラスのグループに棟田いる?」


「あ〜、ごめん。クラスのグループは通知がうるさくて一日で抜けちゃったよ。QRを出すからそっちでお願い」


ライソを開いてQRコード画面を出して御堂にスマホを渡す。


「オッケー…。これで良き。このアイコンってゲームの?」


「そそ。キャラをスクショしたやつなんだ。これさ、キャラメするのにほぼ一日かけた」

と、苦笑いしながら答えた。


「マジ? ほぼ一日ってそれはヤバいね」

とお腹を抱えて笑う御堂。


「オンラインのゲーム仲間たちにも、アホだのバカだのこき下ろされたけどね」


「でもいいじゃん? 棟田なりのこだわりがあったんでしょ? うちは詳しくは無いけどこのキャラクターは素人目にもなかなかカッコよく出来てると思うよ?」


今日で僕の御堂に対する印象は、ガラリと変わった。

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