第1話:軽里高校のBBB(トリプルびっち)
取り立てて人に誇れる特技もなく、見ためも凡庸な僕、
合コンが大好きで、セフレが何人もいて、
パパ活もしている、というような噂話が広まっていて、いつもぼっちで友達すら居ない僕とは別世界に住む三人組の梅田麗羅、淀橋彩音、御堂舞香のことだ。
彼女たちは、テレビに出てくる○○48のようなアイドルなみに可愛いし、某ヤ○マガの表紙を飾るグラビアタレントなみに出るとこは出て、引っ込んでいるところは引っ込んでいて、とスタイルもとても良い。
恵まれた美貌を持っているからといって、無闇やたらと高圧的でもなく、チヤホヤされている女子にありがちな変なプライドもないようで気軽に誰とも絡むので、男女を問わず人気がある三人組なのだけれど、ビックリするほど腰が軽くて、信じられないくらいお股が緩いらしい。
一説によると、まだ一年の一学期だというのに軽里高内だけでもこのトリプルびっちたちの穴兄弟がゴロゴロ居るという話もあちらこちらから聞こえてきて、それどころか軽里高だけではなく、中学で同級生だった友達ギャルたちと合コン三昧の日々を謳歌し、手当り次第男漁りをしているというのがもっぱらの噂だ。
僕の数少ない友達であるオンラインゲーム仲間に聞いてみたところ、どこのクラスにも一人や二人は男遊びの激しい子はいるらしいが、彼らが言うその遊んでいる子たちとは、スケールが違うように思う。
彼女たちは入学して間もなく、三人揃って試しにマネージャーとして入ったサッカー部では、梅田麗羅が初日から練習終わりにキャプテンを誘惑して部室でやっただとか、ゴールデンウィークの合宿中にも連日連夜、梅田麗羅と淀橋彩音が取っかえ引っ変え部員たちと関係を持ちまくっていたらしい。
「あーしと彩音の二人だけでは全員試せなかったから、舞香も合宿に来られたら良かったのに」
「うちは体調崩してたからね〜。それに生理来てたのもあるし、どうせ行ってもやらなかったってば」
「あちゃぁ〜、そりゃ仕方ないわ」
「麗羅はどうだったかは知らないけど、彩音的には正直サッカー部はハズレだったかな〜、って感じ? キャプテンは顔は良かったから期待してたけど、キスも下手くそで早漏だったし、他のやつらもがっつくだけで全然上手くなかったし、アレも小さいやつばかりだったよね」
「あーしもイマイチ、いやイマニだったかな」
と、まだ下校せずに教室に残っている生徒もまだチラホラいるにも関わらず、トリプルびっちたちは放課後の教室で大きな声で笑いながら話していた。
結局サッカー部のマネージャーも、ゴールデンウィークが終わるとすぐに辞め、次はバスケ部をターゲットにするらしい? という噂話も出てはいたが、どうやらとりあえず今は他校や大学生と合コン三昧なのだそうで、他校の生徒たちには『フッ軽高の美人三人組』とも言われているらしい。
軽里高内の男子生徒たちの中には、『もしかしたら自分にも可能性があるかもしれない』、『童貞を捨てる絶好の大チャンスかもしれない』とばかりに、このトリプルびっちに告る勇者も後を絶たないのだが、なぜかそういった男子生徒たちは全員けんもほろろに玉砕している。
梅田麗羅は、
「今は一定の誰かと付き合うのはないかな? 『遊びたい時に遊びたい相手と遊ぶ』でいいじゃん。JKブランドがあるうちに、楽しめるだけ楽しまないと」
淀橋彩音は、
「超絶イケメンでテクもヤバい男がいるなら別だけど、彩音的には色んな男とやりたいし、一人だけに縛られるのは無理。気持ちいいに勝てるものはないっしょ〜?」
御堂舞香は、
「男なんてどうせすぐ裏切る生き物でしょ? まだ高校生なのに、そのうち別れるって決まっている相手と本気で恋をするなんて、心底バカバカしくない?」
クラスメイトの女子たちから、そんなにモテるのに何故誰とも付き合わないのか、と問われて、それぞれがそう答えていた。
なぜ僕がここまで彼女たちのことを詳しいのかと言うと、トリプルびっちの一人で清楚系美人の白ギャル、御堂舞香がクラスメイトで、僕の前の席に座っているからだ。
彼女たちは、休み時間や昼休み、放課後などの暇な時はおおよそ御堂のところに集まってはダベっている。
友達と呼べる存在がいないぼっちな僕は、常に自分の席に座ってスマホでゲームをして時間を潰すことが日課になっているので彼女たちの会話は当然よく耳に入る。
彼女たちへの噂は脚色や尾ヒレが付いていて真偽のほどは定かではなく、僕は御堂舞香の真後ろに座っていて他の人よりも知っていることが多いので、本人たちが実際に話していることだけを信じるようにしていた。
(ま、聞こえてくるから仕方なく? 別に興味があって聞いている訳でもないんだけどね)
「んじゃ、そろそろ帰りますか? 今日も何処に寄る?」
と御堂舞香が言うと
「あーしは今日はパス。セフ君と会うから、先に帰るね?」
と梅田麗羅。
「こないだのK大のみっくん? さすが麗羅。もうやっちゃったんだ? じゃあ、彩音も誰かセフを呼び出そっかなあ」
と淀橋彩音。
「ってことでごめん舞香。今日は別行動ね」
と、御堂舞香に謝りつつ、梅田麗羅と淀橋彩音の二人は、
「いっそのこと今日は四人でしちゃう?」
と盛り上がりながら自分の教室にカバンを取りに行ったようだ。
ようやく教室に静けさが戻ってきた。
(今日のデイリークエストはすでに終わっているし、ギルドクエストも済んだことだし、そろそろ僕もゲームを終えて家に帰るとしようかな?)
そう考えていると、御堂舞香がこちらに振り向いて話しかけてきた。
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