おかえりただいま親の顔より殴った俺。

固定標識

下らない奴の話をしよう

 皆さんお友達っていますか? いきなり訊かれて逡巡なく『いるぜ』と答えられるアンタは絶対幸福です。逡巡した挙句『いる』と言える貴方も幸福です。『いない』は不幸。これは絶対。

 なんでこんな当たり屋みたいな真似してるのって、俺自身もう一度確かめたくなったからです。幸福になるのに友達は必要なのって、考えてみて、あんまりにも簡単にイエスと脳が啼いたもんだから浅薄過ぎて心配になったんです。自分ほど信じられない存在もこの世にないでしょう? だから他の意見も聞きたくって。けれども俺のお友達と来たら頭からケツまで性善説で出来てる大お人好ししかいないものだから、俺がこんなこと訊いたら白衣一号青春野郎は『俺はお前が友達でいてくれて幸せだよ』とか平気な面して言うだろうし、白衣二号裏切り眼鏡は『そんなことを訊くならば幾らでも論文を送り付けてやろう』とか青筋立てて怒るだろうからちょっと遠慮したい。可能なことなら俺のことをちょっと嫌いな人に訊いてみたいけれども、俺もオセロに挟まれてドス黒い精神がちょっと黄ばんでるくらいになっちゃったからか、人に嫌われることが怖くなってしまったんです。恐ろしいことですよねえ、昔は幾ら人を敵に回したって構わないと思っていたのに今や誰であれ笑ってるに越したこたねえとか平気で言えるようになっちまったんだから本当に恐ろしいし恥ずかしい。今も昔も恥を塗り重ねて、俺は分厚く不器用に成長中のようです。ありがたいことにね。

 ああそういえば、なんで確かめたくなったのかって、言ってませんでしたね。言いたいことばっかり先行してぺらぺら喋った挙句言うべきことが伝わってないって、典型的な『自分は喋りが上手いと思ってるコミュ障』です。そんな碌でもないものはさっさと卒業せねばとわかっていても難しい。会話というものは自分の意見を述べるものではなく、お互いに訊き合う行為なのだと気付くのに俺は生後何年掛かったのでしょう。はい脱線。これこれえ! とか上げるテンションゲージも残ってないのでさっさと本題へ参りましょう。

 この冬~春と色んなことがありました。

 具体的には、行きつけの喫茶店に住み着いた家出女子中学生と仲良くなったり、久しぶりに友達と宅飲みしたり、裏切り眼鏡に喧嘩売られたり、ド不幸美少女をバイトにスカウトしたり、青春野郎がド不幸美少女を助けることを助けたり、過ぎ去りし青き日々を回想したり、殴ったり、発破掛けたり。

 こうして羅列してみると、アレ、俺結構青春してるんじゃね? なんて思いそうになりますけれども、自分で自分を青春してるぅ~なんてほざく奴に碌な奴はいません。これは絶対。

 だからこんな独白(吐く毒)にタイトルを授けるならばそうだな、

 下らない奴の話をしよう。

 おかえりただいま親の顔より殴った俺。





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